キャリアのバランスシートは
調整次第で純資産を増やせる
実際の経理実務上のバランス・シートよりはかなり単純化したものですが、これが、今後の転職活動について考えていく際の「個人キャリアのバランス・シート」です。
当然ながら、「採用すべき理由」よりも「採用上の懸念」の方が大きければ、転職成功の可能性は低くなります。
逆に、「採用すべき理由」がたくさんあって、「採用上の懸念」がごく小さくて無視できる程度のものに収まっていれば、その差である「純資産」は大きなものになり、転職は成功しやすくなります。
そして、まだバランス・シートは完成していません。
この後の作業として重要なのが、「どうすれば、もっと資産を大きくできるか?」「負債をなくす方法は何かないか?」と、あらためて考えてみることです。
例えば、先ほどのバランス・シート作成例の中にある「マネジメント経験がない」というマイナス要素は、あえて非管理職のスペシャリスト人材採用枠を狙って転職活動をした際には、特に「採用上の懸念」としてカウントされないので、「負債」欄から消すことが可能です。
逆に言うと、先ほどは「資産」としてカウントしていた「業界特有の専門知識」というものは、もし異業界への転職を目指す場合には役に立たないものになってしまい、「採用すべき理由」とは言えないので削らないといけません。
それどころか、「特定の業界の狭い領域の知識しかない」という「負債」に書き直す必要があるかもしれません。
こうして、最終的に残る「純資産」が最も高くなるように、バランス・シートの最終調整をしていくのです。
最も重要なポイントは、自分が持っている1つ1つの要素をプラスと評価するか、マイナスと評価するかは、それを見る企業側の視点によって大きく変わるということです。
キャリアのバランス・シートが
最も魅力的に見えそうな転職先を探す
具体的に何の要素を「資産」とカウントして、
『定年までこのまま働き続けるのはちょっと…と思ったら読む 40代からの転職と副業』(安斎響市、扶桑社)
何の要素を「負債」とカウントするのか?
それら1つ1つを、どの程度大きな要素として評価するか?
これらはすべて、評価者の目線に委ねられています。
バランス・シートを作ってみた結果、「これじゃダメそうだな……」と思った場合は、「負債」が「負債」にならない条件の雇用先を探してみたり、「資産」がより大きく評価されそうな転職候補企業を考えてみるのが良いでしょう。
実際に経理実務でバランス・シートを作る際にも、左右の欄の合計がズレないように何度も計算をして、「これは売掛金で処理していたようだから訂正しないと」「流動資産の金額見積もりが甘かったから再度検討しよう」などの調整を入れることがあると思います。
自分自身の市場価値が高いか、低いかという単純な話ではなく、
●「自分が持っている要素は、どういう視点で見ればプラスで、どういう視点で見ればマイナスに作用するのか」
●「この要素は一見マイナスに見えるが、こういう業界であれば、逆にプラス要素としてカウントできるのではないか」
●「それを誰のところに持っていけば、より高い★が付く可能性があるのか」
などをしっかりと考えながら、自分自身のキャリアのバランス・シートが最も魅力的に見えそうな条件を探すということです。
同書より転載 拡大画像表示







