40歳・50歳・60歳から一発逆転! 稼げる資格#14Photo:PIXTA

三大国家資格の「弁護士」(司法試験)をはじめ、司法書士や行政書士など法律系の資格は多い。だが、中高年から目指すとなると、費やす労力に見合う資格は限られる。そこで、特集『40歳・50歳・60歳から一発逆転! 稼げる資格』(全17回)の#14では、一念発起した中高年が目指すべき法律系資格を検証する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

司法試験は若年層中心
中高年が受けやすい法律系資格は?

 法律系資格の花形といえば、放映中のNHKの連続テレビ小説「虎に翼」や、6月まで放映されたテレビドラマ「アンチヒーロー」(TBS)でも活躍する「弁護士」(司法試験)だろう。「医師」と「公認会計士」に並ぶ三大国家資格だけあって、社会的ステータスも高く、憧れる人も多いはず。

 だが、特に中高年がゼロから目指すべき資格かというと「あまりお薦めできない」(大手資格学校、東京リーガルマインド(LEC)社長で弁護士の反町雄彦氏。本特集#2『40~50代の人生を変える「2つの資格」とは?資格学校大手・LECの反町社長にイチオシを聞く』参照)という声は多い。実際、司法試験の受験者数は直近の2023年度こそ増加に転じたものの、長く右肩下がりが続いていた。同年度の司法試験における合格率は45.3%と、受験者のほぼ2人に1人が合格した。

 テレビドラマと反するような、“リアル”弁護士の人気低下の大きな原因は、収入の低下だ。

 日本弁護士連合会が10年ごとに実施している「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」の20年調査によれば、確定申告書に基づく年間の事業収入と給与収入の合計の平均値と中央値は、それぞれ2558万円、1437万円だ(0円の回答者を含む)。もちろん高収入の水準だが、10年前の調査では同3304万円、2112万円となっており、大幅減は否めない。そして、弁護士登録70期以降(17年以降に弁護士登録)の弁護士の収入で見ると、20年調査で平均769万円、中央値660万円だ。

 中高年がチャレンジしにくい理由は、弁護士の収入低下だけではない。司法試験の合格者の平均年齢は26.6歳(23年度)で、主要な法律系資格で飛び抜けて若いのだ。

 司法試験の出願資格を得るためには、法科大学院(ロースクール)を修了するか、誰でも受験できるものの難関の「司法試験予備試験」に合格するかの二つのルートがある。もちろん王道はロースクールだ。だが、働きながら通える夜間コースを設けているロースクールはごくわずか。加えて予備試験においても、その合格者479人(23年)のうち、約6割を現役大学生が占めている。

 ただし中高年がゼロから弁護士に挑戦して、サクセスストーリーを描ける可能性もないわけではない。実例を挙げよう。

 東京スタートアップ法律事務所に所属する工藤慎一郎弁護士は現在48歳。なんと弁護士登録2年目の“新米”だ。家族持ちながら40歳の節目に一念発起して司法試験予備校へ入り、4年後に予備試験を突破した。ロースクールではなく予備試験を選んだ理由は、工藤氏が都内の私立大学文学部を中退していたため、ロースクールへの入学資格そのものがなかったからだ。

「中高年がゼロから弁護士を目指すなら、仕事を辞める必要がないため、ロースクールよりも予備試験を考えた方が無難。たとえ法学部出身でなくてもちゃんと勉強すれば予備試験に十分合格できる」と、工藤弁護士。

 次ページでは、工藤弁護士が明かすゼロから弁護士になっても失敗しない中高年の特徴や年収レベルに加え、行政書士や司法書士、弁理士の中で中高年に特におススメの資格を明らかにする。