停戦交渉が円滑に進んでホルムズ海峡が自由に通過できる状態が実現すれば問題はないが、その通行が制限される事態が続くことになれば、日本のガソリン消費量をこのまま認めてよいのかどうかが、大きな問題になる。
現在は、まだ消費を抑えるべき段階ではないのだろうか。すでに韓国やASEAN諸国では、政府が緊急事態などを宣言し、需要抑制策に踏み出している。
韓国は自動車利用を1日置きに制限
ASEAN諸国も公務員の在宅勤務導入や10%節電
韓国やフィリピンでは、ガソリンの消費を抑制する政策が導入されている。
韓国では、平日のうち1日ずつ自動車の利用を制限する「5部制」がすでに義務化されていた。4月8日からは、ナンバーの末尾が偶数・奇数によって制限する「2部制」となった(つまり、1日置きにしか自動車を利用できない)。
この措置は、エネルギー危機の警報レベル引き上げに伴うもので、違反者には厳しい懲戒処分が下される可能性もある。
一方、フィリピンのマルコス大統領は3月24日、大統領令第110号に署名し「国家エネルギー非常事態」を宣言した。有効期間は原則として1年間。フィリピン国内における原油価格の高騰と供給不安が生じているからだ。
フィリピンは原油輸入の9割超を中東地域に依存する純輸入国であり、政府備蓄も約45日分しかない。今回の宣言によりエネルギー省には、燃料最適化計画、需給調整、省エネルギー対策の厳格な実施を含むエネルギー供給管理策を講じる権限が付与された。
このほか、ベトナムやマレーシア、石油産出国のインドネシアでも、公務員の在宅勤務導入や、消費者への燃料節約、夏季の10%節電呼びかけなどの、エネルギー消費抑制策が行われている。
現時点の日本で、これらと同じような利用制限が必要だとは思わないが、停戦交渉が進展しない場合は、こうした政策の導入を考える必要も出てくるのではないか。
少なくとも、不要不急のガソリン消費を抑えるという点でいえば、ガソリンの価格補助政策を見直す必要があるだろう。
(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)







