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愛する人のために命を投げ出す。ただそれだけの物語には、人は涙しない。『ディープ・インパクト』と『タイタニック』が観客の心を揺さぶるのは、そこに決定的な条件が加わっているからだ。映画ウォッチャーである識者2人が、人が涙する「命の使い方」の構造を読み解く。※本稿は、社会学者の井上義和、フリーライターの坂元希美『人はなぜ特攻に感動するのか』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
シェルターに入る権利をめぐる
分断を描いた『ディープ・インパクト』
坂元希美(以下、坂元):《ディープ・インパクト》(1998年)は、高校生のリオ・ビーダーマンが偶然、彗星を見つけたところから始まります。天文台のウルフ博士に確認したところ、未知の彗星であること、軌道上に地球があることがわかる。が、博士は事故死してしまい、彗星の脅威は世間に知られることはなかった。そして、パニックを恐れる政府は彗星のことを隠蔽しました。
ジェニーのスクープによって存在が明らかになったとき、発見者2人の名を冠して〈ウルフ=ビーダーマン彗星〉と名付けられます。
井上義和(以下、井上):大統領会見のあと、リオは彗星の第一発見者として、一躍有名人になります。でも、彼の主人公らしい活躍は、後半のノアの方舟計画からです。リオは専門家枠でシェルターに入る権利を得て、家族である両親と妹も入れることになります。
でも、ガールフレンドのサラとその家族は抽選次第。そこでサラと急いで結婚して家族になり、一緒に避難できることになる。彼らの住むバージニア州では、1998年当時、親の同意があれば中学生の年齢から結婚できました(その後18歳に引き上げられる)。







