井上:《タイタニック》では、パニック状態のなかで、さまざまな「命の使い方」が垣間見られました。あえて船に残る人たちもいたし、沈みながら最後まで演奏する楽団もいました。自分ならどうするだろうか、と考えさせられたなあ。
坂元:街に戻ったリオがサラの家に駆けつけると、一家は車で去った後。彼らを追って、オフロードバイクで走り出し、ようやくサラと再会できたのは小惑星が地球に衝突する直前でした。2人はサラの両親から赤ちゃんを託され、大津波が迫るなか必死に高台を目指して駆け上がります。
特攻を決意して変わった
メサイア号の宇宙飛行士たち
井上:その頃、宇宙船メサイア号ではベテラン宇宙飛行士のフィッシュ・タナーが「特攻」を提案します。
残りの核弾頭を起動させ、大彗星にあいた穴に宇宙船ごと突入して爆破させるのです。たとえわずかでも、地球の未来を守る可能性に賭けてみないか、と。当初の任務に失敗した後も、フィッシュは地球を救う手立てや自分たちの命の使い方をずっと考えていて、ギリギリのタイミングでみんなに提案するのですよね。
坂元:失敗する前はみな「与えられた任務を誰がどれだけうまく実行できるか」を意識して競い合う関係だった。与えられた任務に失敗した後は、当初の任務より大きな使命(地球を救う)のために何ができるかを一緒に考える関係になるという、ワンチームになったと言える。
ということは、宇宙船のなかの空気は沈んでいるように見えるけれど、「任務を超えた自由意志としてのブレイブ」(編集部注/ブレイブをただの勇敢さではなく、誰かのために命をなげうつ行為と筆者らは解釈している)が静かにみなぎってきた、ということですかね。
井上:なるほど!任務に失敗したからこそ、任務を超えた使命に目覚める。《ディープ・インパクト》の場合、チームとしてブレイブを発揮するわけだ。
坂元:そうそう。そして、死を覚悟したときは、未来が見えたとき。







