坂元:専門家枠といっても、リオの場合は、たまたま彗星の発見者というだけで他に何の学問的業績もなく、まだ大学にすら進学していない。運よく転がり込んできた特権で、本人も有名人になっちゃった!くらいの認識しかない。
だからシェルターに避難する際も、「僕が頼んでみるよ」と無邪気に言っていましたが、実際に入れるのは配偶者のサラだけで、サラの家族までは無理。いざ、シェルター行きのバスが迎えにきたとき、サラは「自分の家族と離れたくない」と残り、バスに乗ったリオとは離れ離れになります。
井上:高校生とはいえ、まだ子どもだからね。サラの両親はお前だけでも生きのびてくれとバスに押し込もうとするのですが、気持ちはすごくわかる。
坂元:リオの家族は一家全員が助かることが確定していたので、安泰な雰囲気です。特権を持つ家族と、持たない家族。そのあいだに起こった分断はまさに悲劇ですし、あらゆるところで発生していたでしょう。
たとえば、井上家で親は年齢制限で入れない、子どもたちはIDで抽出されたら生き残れる。外れたら、家族全員が一緒にいられるけれど死ぬ可能性が高い、と想像するとかなりのディストピアじゃないですか。
井上:うわー、想像したくもないですね……。
生きることより愛する人を選んだ
『タイタニック』との共通点
坂元:今の話で《タイタニック》(1997年)を思い出しました。豪華客船は階級社会の縮図です。救命ボートの定員が乗客の数に足りていないので、命が助かる確率も階級に比例している。特権階級のローズ(ケイト・ウィンスレット)は救命ボートに乗ることができたのに、貧しい青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と一緒にいることを選んでタイタニック号に残る。
《ディープ・インパクト》でも、シェルターの入り口は選ばれなかった人で溢れ返っていました。リオは「やっぱりサラのところに行く」と引き返すのですが、それは特権を手放してでも、本当に大事な人と一緒にいようとした《タイタニック》のローズと似たような感情だったのかもしれませんね。







