奇妙でもあり、それでいてよく見かけるやりとりです。でもここには「面白い」と思う作品に対する2つの態度があることが見て取れます。「面白い」を探求し旅をしようとすると実は2種類の姿が見えてくるわけです。
つまり「目指す先に2つの山がある」という事実です。ここではまず、その2つの山――つまり「面白い」という感覚の2つのタイプを明確に区別していきます。それによって、私たちがどちらの山を目指すのかを見極める準備を整えましょう。
あなたが感じている面白さは
「自発的」か「共感的か」
私たちは日々、漫画や映画、ドラマ、小説といった多様な創作物に囲まれています。
その中で「これは面白い!」と感じる瞬間には、実は大きく分けて2つの異なる種類があります。1つは、「これは自分の好みにぴったりだ」と心から思える、自発的な面白さ。もう1つは、「みんなが面白いと言っているから、自分もそう思えてくる」という、共感的な面白さです。
一見よく似ているようでいて、この2つは脳の働き方も、体験の質も大きく異なっています。
まず、自分の感性に合った作品を味わっているとき、私たちは強い没入感を覚えます。たとえば推理小説で「犯人は誰なんだろう?」とページをめくるときや、配信ドラマの続きが気になって「次の話へ」のボタンを何度も押し、気がついたら休日を丸ごと費やしてしまったときなど。
このような没頭体験は「フロー状態」と呼ばれるモノに近いものです。フローはアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、人が自分の能力に見合った難易度の課題に集中するとき、幸福感や達成感が最大になる状態を指します。
スポーツや芸術活動だけでなく、創作物を鑑賞して「面白い!」と感じるときの感覚も、フローに非常に近い体験だと考えられます。







