将来的に5人に1人がなると言われている「認知症」。運や遺伝によってなると考える人も多いが、じつは意外な習慣によって、そのリスクを高めてしまうことがわかった。その影響は20代から始まっているとも言う。
その事実を紹介したのが、オックスフォード大学の研究員として世界的難病の治療法の発見に貢献し、現在は医師としても活躍する脳と糖の専門家である下村健寿氏の著書『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』だ。認知機能を崩壊させる「黒幕」の正体や、そのメカニズム、そして脳を守るための習慣を紹介した同書から、一部を抜粋・編集し紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
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認知症予防として医師が勧めたい「趣味」とは
いつまでも「冴えた頭」でいるために、何か対策を始めたい。
そう思っても、何を選べばいいのか迷う人は多いだろう。
読書がいいのか。
脳トレがいいのか。
それとも運動なのか。
さまざまな情報があふれる中で、「結局どれがいいのか」がわかりにくいのが実情だ。
そんな中で、元オックスフォード大の医学研究者であり、医師としても活躍する「糖と脳」の専門家である下村健寿氏は、著書『糖毒脳』の中で、認知症予防に効果的な趣味として、意外なものを挙げている。
認知機能の向上につながる趣味を持ちたいなら、おすすめしたいのは「ダンスを習う」ことです。
――『糖毒脳』より引用
認知症予防に効果的な趣味、それは「ダンス」なのだ。
脳を最も若返らせる「ダンスの種類」
さらには、ダンスのなかでも注目されているのが、「タンゴ」だという。
下村氏はその理由として、下記の調査を紹介している。
2025年に、1000人以上を対象とした脳の若返り効果を示した研究結果が報告されました。研究では、楽器演奏、絵画、ダンス、頭を使うゲームといった創造的な作業を好む人たちが調査対象となりました。その結果、最も脳をアンチエイジングできていると判明したのは、なんとタンゴのダンサーでした。
――『糖毒脳』より引用
楽器でもない。
絵画でもない。
脳トレゲームでもない。
最も脳の若さを保っていたのは、「タンゴ」のダンサーだった。
その理由について、下村氏はこう解釈している。
タンゴは運動量が多く、複雑な動作をパートナーと協調的・計画的にこなす必要があるダンスです。
――『糖毒脳』より引用
身体を動かす。
相手と呼吸を合わせる。
動きを覚える。
次の動きを考える。
こうした複数の要素を同時に行うことで、脳のさまざまな機能が刺激されるのだ。
これはタンゴに限った話ではなく、タンゴのように運動と一緒に協調性や計画性など脳の高度な機能を使う活動が、脳の若返り、つまりはアルツハイマー病の予防に有効である可能性を示した研究成果と言えると、下村氏は同書で述べている。
認知症予防に必要なのは、特別なトレーニングではない。
楽しみながら、身体と頭を同時に使うこと。
その意味で、「ダンス」は最も理にかなった趣味のひとつと言える。
もし、脳にとって良いことを何か始めたいなら、その候補として考えてもいいだろう。
(本稿は、『糖毒脳――いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』の内容を引用して作成した記事です)
福島県立医科大学卒。同大副理事、医学部病態制御薬理医学講座主任教授。現役内科医でもある基礎医学研究者。日本糖尿病学会東北支部学術評議員。日本内科学会認定内科医。医学博士。群馬県前橋市出身。2004年、日本で働いていた大学医学部から、英国オックスフォード大学への就職を試み、執念の就職活動を実らせて成功。オックスフォード大学正式研究員として、世界を代表する生理学者フランセス・アッシュクロフト教授の薫陶を8年間受けた。その間、新生児糖尿病治療法の発見という世界的快挙に貢献。新生児糖尿病の最重症型であるDEND症候群の脳神経症状治療有効例を報告した論文は米国神経学会誌「Neurology」よりEditorial論文に選出された。貢献を認められて2006年と2010年にオックスフォード大学メリット賞を2度受賞。日本帰国後は、新生児糖尿病に加えて肥満・2型糖尿病などの生活習慣病について、インスリン分泌や脳機能の観点から研究している。








