あらゆるがんを引き起こす
たばこと酒の悪魔合体

 JPHC研究(編集部注/1990年から日本人の約10万人を対象に、生活習慣とがん・心筋梗塞・脳卒中などの疾病発症の関連を20年以上追跡調査している国立がん研究センターの疫学研究)は約7万人の日本人を対象に、飲酒量と全がんリスクの関連を10年間追跡した。

「時々飲む」群の飲酒量を基準として、週あたりのエタノール摂取量が増加するとがんリスクはどう変わるかをみていくと、1~149g/週でリスクは18%高く、150~299g/週(日本酒1~2合/日に相当)で17%、300~449g/週で43%、450g/週以上では61%と、概ね飲酒量の増加にともなって全がんリスクが上昇していた。とくに300g/週以上の「多量飲酒」では、がん発症・死亡ともにリスクが明瞭に高まることが示された。

 喫煙との相互作用も大きく、喫煙者では飲酒量の増加にともなうリスク上昇が顕著だった。口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道扁平上皮がん、肝細胞がん、大腸がん、女性では閉経後乳がんなどのアルコール関連が考えられるがんに限定した場合、非喫煙者において高摂取群でリスク上昇がみられ、飲酒そのものが独立したリスク因子となりうることが示唆された。

 また、大腸がんについては、日本人を対象とする5つの前向きコホート研究(編集部注/共通の特徴がある参加者を現在から将来に向かって追跡し、疾患の発生率を比較する調査法)を統合したプール解析で、総アルコール摂取量の増加と大腸がんリスクのあいだに明瞭な用量―反応関係が認められている。

 具体的には、純アルコール摂取が15g/日増えるごとに、大腸がんリスクがおよそ10%ずつ上昇すると推定され、この傾向は結腸・直腸のいずれにおいても確認された。

顔が赤くなる人は
一滴も飲まないほうがいい

 こうした研究結果から明らかなのは、飲酒の量や頻度を少しでも控えることが、長期的にみて、がんリスクを下げる現実的な対策となることである。

 とくに日本人で注意を要するのは、少量の飲酒でも顔が赤くなるALDH2遺伝子多型、いわゆる「フラッシャー体質」の人だ。この体質を持つ人は世界的に見て東アジアに集中しており、日本人男性では約4割が該当するという。