やろうとしたことが、またできなかった。そんな経験が重なるうちに「自分はダメな人間ではないか?」と責めてしまう人は少なくない。しかし『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)の著者・池田貴将氏は、「行動できないのは意志が弱いせいではない」と語る。今回は池田氏に、過去の失敗にとらわれずに巻き返す方法について伺った。(取材/ダイヤモンド社・林えり、構成・文/照宮遼子)

「うまくいかない人生」から抜け出せる「すごい習慣」とは?Photo: Adobe Stock

「できなかった過去」ではなく、「これから」で考える 

――「またダメだった」が積み重なると、だんだんやる気がなくなってきますよね。

池田貴将(以下、池田):そうですね。僕も大学生の頃、同級生に「お前って、時間管理についてずっと勉強している割に、全然定着しないじゃん(笑)」と言われて、返す言葉もなかったんです。たしかに朝は起きられずに、朝イチの授業も出られないこともしょっちゅうありましたからね。でも、そのときに、「今はたしかに時間管理はできていないけど、一度できるようになればその後はずっと続けられるものなんじゃないか」とも思っていたんです。

――今できていないことがあったとしても、あまり気にしなくていい、ということですか?

池田:たとえば、これまで早起きができなかったとしても、今30歳の人がこの先50年間できるようになったとしたら、それだけで十分ですよね。過去にできなかったことって、そこまで問題ではなくて、ここから先、自分がどうなっていくか考えればいいと思ったんです。

「何者か」になろうとしないほうがうまくいく

――池田さんは、「何者かになりたい」と思っていた時期はありましたか?

池田:ありましたね。それが一番つらかった時期かもしれません。「自分はすごいんだ、才能があるはずなんだ」と思っていたんですけど、実際はそうでもなくて。そのギャップがしんどかったんですよね。だから、「別に自分はそうでもないな」と思えるようになってからのほうが動きやすくなりました。

――理想とのギャップを手放した、ということでしょうか。

池田:はい。『人生アップデート大全』にも書いていますが、人は他人からの評価や見た目、つまり「PALMS(※)」を気にしてしまうと、自分らしく生きられなくなってしまうんです。

※PALMSとは…
Possessions:所有物を増やそうとする
Achievements:達成物
Looks:見た目(持ち物)を高める
Money:金銭
Status:地位・名声

――『人生アップデート大全』より

だからこそ、周りの評価を基準にしないことが大切だなと。そのほうが自分の感覚で動けるようになりますからね。

「うまくいかない人生」から抜け出せる「すごい習慣」とは?
池田貴将氏 写真:照宮遼子

周りからの評価を手放すと、「やったことがないこと」にも挑戦しやすくなる

――自分のペースで動けるようになると、行動も変わってきますか?

池田:はい。自分の感覚で動けるようになると、「やったことがないこと」にも向き合いやすくなります。初めてのことってどうやればいいかわからないので、普通は立ち止まってしまいやすいんですよね。

――未知のものだと、「自分には無理だ」と感じてしまいやすいということでしょうか。

池田:そうなんです。やり方が見えていないだけなのに、それを能力の問題だと考えてしまう。そして「やっぱり自分には無理だ」というストーリーができあがっていく。でも、本当は「ただ経験がないだけ」なんです。だからこそ、周りからどう見えるか、自分の能力が足りているかなどに囚われなければ、「よし、やってみるか」と挑戦しやすくなるわけです。

「できなかった自分」を更新していく

――本書には「この日までにやろう」という「期日」に縛られすぎると、かえって動けなくなると書かれていました。

池田:そうなんです。「逆算」という言葉が一般化していますが、期日から逆算する、つまり期日を意識しすぎると、まだやらなくていいやと思って、かえって行動しにくくなってしまいます。でも、期日は気にせずに、「今やれることをどんどん完了させていく」ほうが仕事も速くなるし、不思議と動き出せるんですよね。

――たしかに前倒しで仕事を終わらせられると気分がいいですね。

池田:『人生アップデート大全』でも「進捗の法則」というハーバード・ビジネス・スクールの研究を紹介していますが、人が一番充実感を感じるのは、報酬や大きな達成ではなく、「少しでも前に進んでいる」という感覚なんです。しかも、この研究で明らかになったのは、「本人がさほど重要ではないと思っていることでも、少しでも進めば大きな充実感につながる」ということでした。

――できないことよりも、できたことに目を向けたほうがどんどん前に進んでいけるんですね。

池田:そうです。「できない」と決めつけずに、「ここからどうしていくか」で考えられるようになると、動き方も変わってくると思います。『人生アップデート大全』は「またダメだった」をたくさん抱えてきた人に、特に読んでほしいですね。

「うまくいかない人生」から抜け出せる「すごい習慣」とは?池田貴将氏 写真:照宮遼子

(本稿は『人生アップデート大全』に関する特別投稿です)

池田貴将(いけだ・たかまさ)
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役
リーダーシップおよび行動心理学の研究者。早稲田大学卒。
大学在学中に渡米し、コーチング理論を学んだ経験をもとに起業。セミナーを開催すると、たちまち「ラクにすごい結果が出た」「説明がおもしろくて理解しやすい」と企業リーダーたちの間で評判になり、ファンやリピーターが急増した。
現在はビジネスリーダー向けのスクールを主宰し、「行動を生む心理学」と「人格形成に関する知見」を統合した独自メソッドを伝えている。常に海外の最新の研究や文献を取り入れながら内容をアップデートしており、エグゼクティブやアスリートをはじめとするプロフェッショナル層から高い支持を得ている。
著書に『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『図解 モチベーション大百科』(共にサンクチュアリ出版)などがある。