ユニバーサルサービス料金を
鉄道に導入したらどうなるか
では鉄道にユニバーサルサービス料金を導入したらどうなるだろうか。JR各社の発表と、2023年度鉄道統計年報から参考となる数字をざっくり示してみよう。JR東海を除く旅客5社が発表した2024年度の輸送密度2000人/日未満路線の収支は計約1433億円の営業赤字だ。このうち約800億円がJR東日本によるもので、非上場のJR北海道・JR四国は計158億円だ。
民鉄に対象を広げると、輸送密度2000人/日未満の地域鉄道(ローカル鉄道)の鉄道事業営業収支(2023年度)は計約135億円の赤字、旧国鉄・JR線の第3セクター鉄道に限れば約95億円の赤字だ。全ての赤字を合算すると最大約1568億円である。前述のようにユニバーサルサービス料は赤字の全てを補填する目的ではないものの、どのような設定であれば、この額を調達できるか思考実験してみたい。
単純に国民1人あたりで均等割りすると1000円強だが、これはいささか乱暴な議論。前述の森林環境税は2024年度、全国約6200万人の納税者から総額620億円を徴収している。ネットワークとして維持すべき路線に支援を絞るのであれば、これだけでも有効な財源となる。
だが「環境」という人類共通のお題目に対し、「ローカル鉄道」の維持は全国民に課すには納得感が低いかもしれない。電話ユニバーサルサービス料金のように利用者を対象とする場合もシミュレーションしてみよう。
運賃に対して一定の割合を課すならば、2023年度の全国鉄道の旅客運輸収入は計約4.1兆円。3.8%の料金を課せば1568億円、1.5%なら620億円となる。
バリアフリー設備の整備費用として1乗車あたり10円を上乗せする「鉄道駅バリアフリー料金」制度に倣い、輸送人員に対して課すならば2023年度の全国鉄道の輸送人員は約141億人、中小事業者を除けば約117億人だ。1乗車あたり10円とすれば1170億~1410億円の財源となる。
どのアプローチでも一応、成立はしそうだ。広く負担を求めるにあたり、どのような形が最も納得を得られるか。当然、入り口(徴収)だけでなく、どこまでが支援すべき、維持すべき鉄道ネットワークかという出口(支出)の議論もある。







