ユニバーサルサービス料金が実現すれば、各地方自治体は当然、我こそが維持すべきネットワークと主張するだろう。だが、単に両端が幹線に接続していることだけではネットワーク機能とは言い難い。非常時の迂回ルートとして期待できるといっても、そもそも設備の規格が長編成・重量の貨物列車に対応していない路線も多い。

 逆に迂回ルートに位置付けるのであれば、この財源を規格向上の設備投資に充てる選択肢もある。実際、整備新幹線の貸付料を原資に並行在来線第3セクター鉄道に交付される「貨物調整金」は、迂回ルート確保のための設備維持にも投じられている。

 今回の議論は旅客鉄道に限った問題ではなく、慢性的な赤字を抱える貨物鉄道も範囲に含まれる。貨物調整金は2030年度までの時限措置であり、持続的な財源が必要だ。ユニバーサルサービス料金が実現すれば、その有力候補にもなるだろう。

 貸付料は年額計約700億円、これに対して貨物調整金は約150億円にもなる。整備新幹線の建設財源である貸付料から「余計な出費」を減らしたいというのも、今回の議論の背景にある国交省の偽らざる本音ではないか。

 反対に全国鉄道ネットワークの再編と密接な関係を持つ整備新幹線の受益をローカル鉄道維持に活用すべきとの考え方も成り立つだろう。並行して進む貸付料のあり方をめぐる議論の行方にも注目したい。

 検討会にあたり国交省が実施した調査によれば、ローカル鉄道維持のための利用者負担の意向について、沿線住民・都市住民ともに約7割は年間500円以上、約4割は1000円以上の負担をする意向があると答えた。これは予想以上に多い印象だ。

 現時点でユニバーサルサービス料金構想は検討会の提言レベルであり、具体的な政策論に移るまでにはまだ時間を要するだろう。しかし、大都市に住む人々にとって、ローカル鉄道問題はもはや対岸の火事ではなく、当事者となりつつあることは意識しておいた方がよいかもしれない。