補助金で大バーゲンセールのeビターラ

 BEVへの潤沢な補助金という神風によって大バーゲンセール状態のeビターラ。ロードテストすると、航続距離や充電特性こそ特別秀でたものではなかったが、室内の広さ、乗り心地、速さなどの要素がハイバランスな印象だ。

 デザイン上の工夫もある。屋外で実物を見ると、類似クラスのマーケットリーダーであるトヨタ「カローラクロス」より全長が20cmも短いとは、とても思えないくらい伸び伸びとしたフォルムに見える。クルマの能力にこだわりが強くないユーザーなら、ファーストカーとして十分に使えるクルマに仕上がっている。

 コスパ抜群のeビターラだが、具体的にどのような人に向いているのか。絶対条件は、自宅や職場など日常シーンで普通充電(交流電源)ができること。それさえあれば通勤、買い物、家族の送迎など普段使いで困ることはまず、ないだろう。地方部でありがちな片道40~50km程度の長距離通勤に使う場合も、季節を問わず困ることはなさそうだ。

 日本自動車工業会の調査によると、23年度の乗用車の平均月間走行距離は362kmだった。ユーザーの77%が月間600km以下だという。そういうユーザーであれば、eビターラは1カ月に1~2回の充電で運用できるだろう。

 では、たまにクルマで遠出するという人はどうか。バッテリー残量に少し余裕をみても、ワントリップ320km(200マイル)くらいまでなら、急速充電器を用いた中継充電は不要だろう。一例として、筆者が住む東京23区の下町エリアを起点とした場合、日光の中禅寺湖、あるいは軽井沢あたりまでドライブするイメージだ。

 それ以上を走る場合は、中継充電を利用すればいい。30分の中継充電を1回行うと、おおむね500km、2回行うと700kmの旅行距離に対応できる。筆者が過去に行った長距離テストの事例に照らし合わせると、ワントリップ700kmというのは、同じく下町エリアを起点として長野、福島あたりを広く周遊するのに相当する距離だ。

 eビターラは、急速充電受け入れ性はそれほど高くない。が、バッテリーパックには冬場でも安定して充電できるよう温めるヒーター、夏場のバッテリー過熱を防ぐクーラーの両方が装備されているので、「急速充電したのに思ったほど充電率が回復していない!」なんてことは少ないはずだ。

 普通車のBEVとしては「空前のお買い得モデル」と化したインド産のeビターラが、BEVアレルギーの強い日本で受け入れられるのか――実に興味深い。なお、バッテリーが中国製であることがマイナス査定され、来年には補助金額が98万円に減額されてしまう。それでも価格競争力は強烈だが、もしeビターラの購入を検討するなら、補助金額127万円の今年末までに登録完了を目指したほうがいい。

補助金で爆売れ必至のスズキ「eビターラ」、試乗で見えた「充電の弱点」とは