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「家族にがんの人が多いから、自分もいずれ……」そんな不安を抱いたことはないだろうか。その受け止め方は必ずしも正確とはいえない。がんの発生にはさまざまな要因が関わっており、見方を少し変えるだけで対処も変わってくる。がん専門医である筆者が、遺伝にまつわる思い込みと、知っておきたいリスクの実像を示す。※本稿は、山口建『高齢者とがん』(中公新書)の一部を抜粋・編集したものです。
がんの原因の2~3割を占める
感染症への対策ががん予防になる
日本人が罹るがんの2~3割は特殊な感染症が要因であると推測されている。感染症が原因となるがんは、感染予防や感染症治療ががんの予防につながるため、がん対策上、重要なテーマとなっている。
胃がんの原因の1つとされているピロリ菌については、日常診療でピロリ菌除菌が行われている。肝臓がんの原因となるB型肝炎ウイルスについてはワクチン接種による感染予防が確立され、C型肝炎ウイルスでは、がん化の要因となる慢性肝炎のための治療薬が効果を発揮している。
子宮頸がんや咽頭がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の慢性感染が原因であることが明らかにされ、感染防止のためのワクチンが開発された。このウイルスは、主に性交渉によって感染するため、性交渉を経験する前の女児へのワクチン投与が全世界で開始された。
日本でも、2010年より積極的なワクチン接種が開始されたが、一部で強い疼痛などの副作用が認められ、その後、積極的な接種を勧めることが控えられてきた。しかし、2022年より、改めて積極的に接種が呼びかけられ、現在に至っている。







