系列校の先にある立教大の戦略

 立教大では、一般選抜入試に入学定員の52%を充てているものの、学部・学科でその割合には幅がある。観光学部観光学科、文学部教育学科、理学部化学科と数学科は一般選抜の割合が6割を超えている。一方で、異文化コミュニケーション学部や現代心理学部は4割台半ば、法学部政治学科は4割を下回る。26年開設の環境学部はさらに少ない。

 残りは特別入試で選抜している。総合型選抜に該当する自由選抜とアスリート選抜で1割強が合格する。入学者数は50人程度と少ないものの、英語で授業を受け卒業できる国際コース選抜では、法学部国際ビジネス法学科グローバルコース、異文化コミュニケーション学部Dual Language Pathway、GLAP(グローバル・リベラル・アーツ・プログラム)が対象となる。他に帰国生、外国人留学生、社会人の各入試もある。

 特別入試で最も多くを占めるのが、指定校推薦入学という学校推薦型選抜である。立教英国学院を含む系列5校の推薦入学だけで1割強相当を占め、2割強が全国にある指定校から少しずつ集められている。多くの高校には1~2人の枠が学部学科別に割り当てられている。

 ここで冒頭にご紹介した「キリスト教教育連携校制度」について詳しく見ていこう。具体的な連携の取り組みとして3点挙げられているものの、中学受験生にとっての関心事は「推薦入学の実施」にあるだろう。

 今回、最初の対象校として学校法人横浜学院の横浜女学院高等学校(横浜市中区)が選ばれた。いわゆるミッション校ではないものの、校訓に「愛と誠」を掲げ、プロテスタントのキリスト教精神による女子の人間教育を行っている。高校募集のない中高完全一貫校で、5つの入試回を設けて180人を募集、E・Fランクの中位校である。

 生徒の様子や英語学習、グローバル教育などを評価しての今回の選出だが、キリスト教という共通の人格教育の基盤を持つこと、あるいは日本のプロテスタント発祥の横浜山手にあることも決め手になったかもしれない。現状の立教大への推薦枠は4人だが、26年は7人が合格と難関私立大の中では最も多い。

 具体的な推薦枠については非公表となっているものの、立教大の12学部とGLAPへそれぞれ複数の枠が用意されている模様だ。次回取り上げる青山学院大学の「教育提携校」の考え方に近いように思える。今後は、指定校以上系列校未満の推薦入学枠を与える対象となりそうだ。日本聖公会の系列校以外でもこうした系列校に準じる学校を開拓していこうという大学の意思の表れともいえる。推薦基準を満たせば、横浜女学院からの進学者数が一挙に増加することになるだろう。

 もう1校選ばれた酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校(北海道江別市)にも触れておこう。校名に含まれる三愛は「神を愛し人を愛し土を愛す」の意味で、聖書の世界観に基づく。男女寮と全国対象の通信制課程もある。全日制普通科に22年新設された募集人員40人の特進GROW-UPコース(獣医・理系専攻、文系専攻)が立教大への推薦入学の中心となるのだろう。学校推薦枠にICU、青山学院大、明治学院大、関東学院大など他のキリスト教大学はあるものの、25年の卒業実績にも立教大の名前は見当たらない。その意味で唐突感はまぬかれない。卒業生の2割が進学する系列大学は獣医養成の獣医学類が看板で、環境共生学類などでは立教大環境学部との連携なども模索されているようだ。

 キリスト教教育連携校の対象となるキリスト教学校教育同盟は、1899年の文部省訓令第12号により宗教教育を禁じる方針を示されたキリスト教学校が団結するため、1910年に発足した基督教教育同盟会が端緒となる。全国100余りの学校法人が加わり、カトリック校を除いた日本基督教団や日本聖公会など広くプロテスタントと呼ばれる宗派の学校が集まっている。

 次回はMARCHの締めくくりに、メソジスト派の青山学院大学の系列校について見ていきたい。