ホッピーもそうですよね。芋焼酎も私はロックで頼んで、一緒に頼んだ水をちょっとずつ足しながら飲むんですよ。ぜんぶ遊びがある。

 喫茶店でアイスコーヒーを注文したらミルクとシロップを一緒に出してくれますよね。ふだんはブラックしか飲まないんですけど、喫茶店ではミルクもシロップも必ず入れます。シロップをちょっとずつたらして、全体に行き渡るように氷をコロコロ鳴らしながら混ぜて、その上からミルクを氷に沿わせるようにたらす。そうすると氷をつたってミルクがアイスコーヒーを浸食していく。上は白くて、真ん中は白と黒が入り混じってて、下はまだ黒い、そのまだらな感じがきれいだなあって思いながら飲むのが好きなんですよ。

 ハイサワーもホッピーも芋の水割りも喫茶店のアイスコーヒーもぜんぶ知育飲料なんです。

少し手間のかかる食べ物は
子供心をくすぐってくれる

 食べ物もおなじです。焼き肉はぜんぶ私が焼くのも、そのひと手間を遊びとして楽しんでる。よく旅館でちっちゃい鍋の下に青い燃料があって、それにチャッカマンで火をつけて食うことがありますよね。あれなんか最高に楽しい。だから吉野家で牛すき鍋膳をはじめて食ったとき、おいおい鍋の下にアレがあんじゃん!ひとり1個アレがついてんじゃん!って興奮して。それで完全に心奪われました。

 信玄餅もいいですよねえ。山梨のお土産の。長方形の容器の赤いまあるいキャップをはずして黒蜜かけるとき、ワクワクしてるのが自分でもすごくわかるんですよ。おれいま高揚してんなって。

 あと、あんことサクサクした外側の部分がわかれてるタイプの最中がありますよね。自分で完成させて食うってやつ。あれなんかもいいっすよね。ケータリングであると、お!ってなりますもん。このひと手間が楽しい。

 結局たばこだって遊びですよ。ライターをセットで持ってなきゃいけなくて、1本1本自分で火をつけて。居酒屋では瓶ビールとたばこ、このふたつの遊びで心地よいリズムができる。

 でも、手間があればいいってわけじゃないんです。たばこも自分で巻いて吸う人がたまにいますよね。私もやってみたことあるんですけど、難しくてうまくできない。あそこまでいくとめんどくさいになっちゃう。リズムが悪い。楽しくない。

 だから遊びにもちょうどよさがあるんです。ハイサワーはいいんですけど、生搾りレモンサワーはダメなんです。銀のドリルみたいなやつでレモンを搾るのは私にはちょっとカロリーが高い。

『没頭飯』(ポプラ社、鈴木もぐら)『没頭飯』(鈴木もぐら、ポプラ社)

 岡野さんとなかよくなれたのは、こういう瓶ビールの遊びがいいとか、ギャンブルの趣味が合うとか、お互い借金があるとかいろいろ理由がありますけど、やっぱり岡野さんがすごく優しかったからです。鬼越トマホークの坂井さんと一緒で。やっぱりおふたりに比べると、おれなんてぜんぜん優しくない人間だなって思っちゃいますね。許す力とか受け入れる力がおふたりにはとうてい敵わない。

 後輩とおなじ目線で楽しくなれて、ちょっと失礼なこと言われても笑って流してくれる。そんな人ってなかなかいませんよ。やっぱり先輩と飲んでて、友達と飲んでるような気持ちになること自体がめちゃくちゃ特殊なことですから。

 私はずっと甘えさせてもらってますよ。甘えてばっかりです。