「逆選択」回避策が周り巡って
生保と銀行の信頼度を下げた
この事件で、三菱UFJ銀行やみずほ銀行は、生保からの出向を廃止すると発表しました。また、日本生命は昨年11月に下記の骨子を発表しています。
・出向制度の見直し
銀行等における営業フロント職務および営業企画・支援(企画・執行・教育等)職務に従事する出向を行わない(26年4月目途)
・銀行等との情報のやりとりのルールを明確にする
・役職員のコンプライアンスを徹底するための取り組みを強化する
日本生命は銀行の窓販を停止し、出向も止める、と読めます。が、子会社のニッセイ・ウェルス生命保険に業務を統合すると報道にありましたから(注2)、親会社では停止しても子会社では継続することが可能なわけです。
バレなきゃ大丈夫、組織としては関与せず、と続けていた「逆選択」回避策が、周り巡って生保と銀行の信頼度を下げました。資本主義市場経済システムでは、コンプライアンスとモラルが何よりも大切なことは、言うまでもありません。
ところで、ニッセイ・ウェルス生命という社名は初耳でしたが、1990年代の金融危機で破綻した平和生命が昔の名前でした。また、プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険というカタカナだらけの長い社名は、リーマンショック後に破綻した大和生命がプルデンシャル生命の子会社となり、この社名になったとか。ああ、そういえば日比谷公園の近くに本社があった記憶がよみがえってきました。
最後に、プルデンシャル生命の100人以上の社員・元社員が500人超の顧客から約31億円を詐取していた事件の真っただ中ですが、今回述べた「逆選択」の一件とは関係ない、経済学とは無縁の単なる(?)詐欺事件です。
同様にジブラルタ生命でも元社員らによる顧客からの金銭詐取の疑いが浮上しています。プルデンシャル生命は再発防止に時間が必要と判断し、新規契約の自粛期間を延長しました。
この事件も低レベルで幼稚で……。いわゆるエリートと呼ばれる社会人が、こんなにも多くの詐欺事件を起こすとは、いったい日本はどうなってしまったのでしょう。経営者はしっかりと責任を取ってほしいものです。
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注2:「日本経済新聞」2026年2月11日付「日生、銀行窓販を停止」







