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ティム・クック氏が世界で最も重要なハイテク企業のトップに就任した際、スティーブ・ジョブズ氏は彼の目を見つめて予想外の助言を一つ与えた。その助言は、アップルの最高経営責任者(CEO)としてクック氏が下すあらゆる決断の指針となった。
「私ならどうするかなどと考えるな」とジョブズ氏はクック氏に伝えた。「正しいことをするだけでいい」
では、クック氏は自身の後継者に何と言うのだろうか。
実は、アップルがクック氏の退任とジョン・ターナス氏への交代を発表するほんの数週間前、筆者はクック氏にこの質問をぶつけていた。
その日、クック氏はいつになく物思いにふけるような様子だった。アップルの創業50周年が間近に迫る中、彼は過去半世紀を振り返り、ガレージで創業した新興企業を地球上で最も価値の高い企業へと変えたさまざまな製品の初期の試作品について思い出を語っていた。しかし、15年前にジョブズ氏から贈られた言葉を思い出すのに、過去を直視する必要はなかった。クック氏がそれを忘れたことは一度もなかったからだ。
クック氏自身の後継者に一つ助言するなら何かと尋ねると、彼はまるでこの質問を既に想定していたかのように答えた。
「恐らく同じことを言うだろう」とクック氏は語った。
しかし、彼がそれを言う時に前任者と違って聞こえるのは、南部なまりのせいだけではない。クック氏がこの助言を受けた時、ジョブズ氏は世界を変える製品を考え出す先見の明がある創造者であり、クック氏は世界の人々が実際にそういうものを買えるようにする業務遂行の達人だった。ジョブズ氏はクック氏がCEOの座を引き継ぐまでに、人生で最高のチャンスに加え、iPod(アイポッド)、iPhone(アイフォーン)、iPad(アイパッド)など、何十億人もの人々が常時使っている端末をクック氏に授けていた。ジョブズ氏は死の直前に、もう一つのものを授けた。







