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待機児童問題を象徴した「保育園落ちた日本死ね」から10年。国による保育の受け皿整備は進み、待機児童は大幅に減少しました。一方で、保育園の倒産・休廃業は過去最多を更新しています。待機児童が解消に向かう中で、なぜ倒産が相次いでいるのでしょうか。その理由は、単なる少子化だけではありません。保育業界は今、「量の拡大」から「選ばれる構造」への転換を迫られているのです。(グロービス経営大学院 鈴木健一)
「保育園落ちた日本死ね」から10年
待機児童は減少、でも保育園の倒産は過去最多
2016年、「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログがメディア、さらには国会でも当時の安倍晋三首相と民主党の山尾志桜里議員との質疑で取り上げられ、待機児童問題は日本社会を揺るがす一大テーマとなりました。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
何が少子化だよクソ。
(中略)
まじいい加減にしろ日本。
出典:保育園落ちた日本死ね!!!(2016[平成28年]年2月15日の「はてな匿名ダイアリー」投稿)
2026年の今年、匿名ブログへの投稿からちょうど10年がたちました。
この投稿に相前後して、国は保育園(法的には保育所。また、ここでは認定こども園なども含みます)の整備を加速しました。例えば、2018年からの「子育て安心プラン」では3年で約32万人の定員増がうたわれました。
0歳から2歳児を対象にしたビルやマンションの一室からなる小規模保育園(定員6〜19人)などの展開により、2016年当時、260万人だった保育園の定員は5年後の2021年には41万人増加(16%増)し、302万人となりました。
出典:厚労省資料などより筆者作成拡大画像表示
結果、待機児童数は2017年のピーク時の2万6081人から急速に減少し、2025年4月時点の待機児童数は2254人です。10分の1以下にまで激減し、全国1741市区町村のうち約88%で待機児童ゼロを達成しています。
出典:厚労省資料などより筆者作成拡大画像表示
「問題は解決に向かっている」――そう安心しそうになりますが、実はいま、保育業界では新たな危機が進行しています。
帝国データバンクによれば、2025年の保育園運営事業者の倒産・休廃業解散は計46件と過去最多を記録。全国の保育園の定員充足率は2016年当時の94.4%から2025年には88.4%にまで低下し、特に過疎地域では74.6%と深刻な定員割れに陥っています。
待機児童が減っている一方で、保育園がつぶれていく――。この現象の裏には、何があるのでしょうか。







