私は裁判所の中の一室で、書記官の立ち会いの下、裁判官から「否認してるんですね」と訊かれ、「はい」と答えました。勾留質問はたったこれだけで、わずか1分で終わり、その場で10日間の勾留が決定されました。

 たった1分のやり取りで、私は自由を奪われたのです。まさかその後、164日間も勾留されることになるとは、夢にも思いませんでした。

 大阪拘置所での取調べは昼過ぎから始まり、休憩や夕食を挟んで夜の10時頃まで続きました。最初の取調べで、遠藤検事から、いきなり信じがたい言葉を聞かされました。

「あなたは起訴されることになるでしょう」

 初めから起訴ありきなら、何のために取調べをするのでしょう。

 遠藤検事は、こうも言いました。

「僕の仕事は、あなたの供述を変えさせることです」

 このひとことで、検察には真相解明をするつもりは微塵もないのだということがわかりました。彼らの頭の中には「やった」と言わせることしかないのです。

 それでも、取調べに協力する姿勢を変えてはいけないと思い、訊かれたことには誠実に答えました。その時の私は、調書というのは被疑者や参考人が喋った内容を整理し、文章化するものだと思っていました。おそらく、皆さんもそうお思いでしょう。

 しかし、実際の調書の作り方はまったく違います。

 検察官は、自分たちが作ったストーリーに沿った供述を被疑者から引き出すことに全力を尽くします。

 たとえば、私は、遠藤検事に「C会長に会っていない」と言い切る表現を訂正するように何度も申し入れましたが、まったく応じてくれず、とうとう私は根負けし、その調書にサインをしてしまいました。

検察側のストーリーに沿わないことは
1文字も調書にならない

 また、遠藤検事との間には、こんなやりとりもありました。

 検察のストーリーでは、Cさんが証明書の件で厚労省に来て4回も私に会ったことになっています。

 私はメモ魔で、スケジュール用の手帳のほかに、パソコンで業務日誌をつけていました。