フリーアナウンサー・藤井貴彦氏フリーアナウンサー・藤井貴彦氏

何げなく過ぎていく日々の中で、自分が何を感じ、何を考えていたのかを思い出せるだろうか。忙しさの中で見失いがちな感情や判断の背景は、振り返ることで初めて見えてくることもある。フリーアナウンサーの藤井貴彦氏は、日々の出来事や感情を日記に書き留め、仕事と向き合い続けてきた。とりわけ毎年読み返すのが、あの日──東日本大震災が起きた3月11日の日記だ。そこには、現地から伝える者としての葛藤や決意が刻まれている。※本稿は、フリーアナウンサーの藤井貴彦『伝える準備』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

年の瀬に日記を見返し
1年間の感情の揺れを振り返る

 毎年、新しい日記は12月に買うようにしています。

 1月始まりのシステム手帳を日記用のスペースとして利用していますが、翌年用の日記を買う頃には年の瀬を迎えていて、今まで書き込んできた日記を眺めて1年を振り返ります。

 ページをぱらぱらとめくると、ボールペンのインクが染みこんだ紙面から、いいことも悪いことも、その日その日の記憶がよみがえってきます。日記を読み返すまで忘れていたことも思い出しますから、人生という限られた時間を大切にしている方には、日記をお勧めします。

 私が書いているのは主に仕事日記ですが、その日の「感情の揺れ」についても書くことがあります。揺れ幅が大きい日ほど、悩んでいたり、苦しんでいたり、時にはうれしかったりと、喜怒哀楽が残されています。

 過去の自分がどんなことを考えていたのかを思い出し、振り返ることで、自分の成長や現在地を知ることができています。

 特に私が毎年続けているのが、あの東日本大震災の起きた3月11日の日記を振り返ることです。3月11日は毎年、被災地から中継を行いますが、現地入りする前に気持ちを整えてから東京を出発します。