『こうやって、センスは生まれる』(秋山具義著、SBクリエイティブ、税込1870円)
「センス」というと、アートやファッションにおける「感覚」と捉える人が多いだろう。一方で、「仕事のセンス」というものも存在する。
例えば商談や会議などで、絶妙な発言やアイデアの提示で話の流れを変えたりする人も「センスがいい」と言える。「経営センス」という言葉もよく使われる。
確かにセンスには、生来の素養や素質といった要素もある。しかし秋山氏によると、センスは「スキル」でもあり、メソッドを実践することで身につけられるものだという。
キーワードは「半歩先」だ。常識的で誰もが当たり前に共感できる「普通」から、半歩だけ異なるアイデアを提示することで「センスがいい」と認められる。これが「十歩先」だと、自分とはかけ離れたものとして理解も共感もされない。共感と意外性のちょうどいいバランスが重要なのだ。
「十歩先」ではなく
「半歩先」を考える
秋山氏の代表作といえるマルちゃん正麺のパッケージは、この「半歩先」の典型といえる。これまでの即席ラーメンのパッケージにはなかった、派手すぎない金色をあしらったデザイン。家庭で料理を作る人が、周りから「手抜き」と思われないように、少しだけリッチに見えるパッケージにしたという。
この「少しだけリッチ」が半歩先に他ならない。例えば、食べた後に小物入れにもなるプラスチック製のパッケージにするといったアイデアは、斬新かもしれないが「十歩先」だ。買ってエコバッグに入れるのにかさばって不便と思われ、不評だろう。
まず、「普通」を認識し、その「半歩先」を考える。そしてその普通と半歩先を組み替える。最後に「伝わり方」を考慮し表現を調整する。この3ステップを踏むことでセンスは生み出されると秋山氏は説明する。
最初のステップで半歩先を見つけるには、まず一見異なるものの中の「共通点」を探る。また、それとは反対に、同じように見えるものの中から「相違点」を見出す。この、共通点と相違点の往復運動が、半歩先の発想のタネになる。
普段見慣れている風景から、意外なものとの共通点や、わずかな相違点を見つける習慣をつけることが、センスを磨く第一歩に違いない。連休明けから実行してみることをおすすめする。








