豪華ゲストにハプニングは付き物!?
「最後の酒」の思い出とは

――志村さんのコントといえば、ビートたけしさんや所ジョージさん、ダウンタウンをはじめ豪華なゲストが出る時もありましたね。

 大御所や旬のゲストは、時間に追われているからなのか、決まった時間だけパッと来て、パッと帰っちゃう。僕も自分の役で大変だったので、正直あんまり覚えてないんだよね(笑)。

 だけど覚えているのは、柄本明さん。志村さんと似ていて、普段はおとなしいんだけど、コントになるとガラッと変わっちゃう。

 あと、倍賞千恵子さんがゲストでいらしたとき、『男はつらいよ』のパロディで、僕がタコ社長をやったんですよ。なんかそれが妙にツボだったみたいで、大女優の倍賞さんが身体をクネクネさせて大笑いしてくれた。あれは、嬉しかったなぁ(笑)。

 ゲストがいらしたときは、ハプニングも多くて。例えば渡辺徹さんが、リハーサルで太鼓橋のセットに登ったら壊しちゃって、数時間も収録が止まったことがあったなあ。

 あと、ある俳優さんの顔にパイをベチャって付けたらマネージャーがすっ飛んで来てね。どうやらカツラの中のカツラがズレちゃったようで……。「そういう事情なら出演を断ってくださいよ!」って思いました(笑)。

――そういうヒヤリハットもあるんですね(笑)。ところで、志村さんと最後に共演されたのは2020年の放送回、最後はお酒を飲むコントだったそうですね。

 その少し前から僕が体調を崩していて、志村さんの飲みの席にお供できていなかったんです。ようやく少し体調が戻った頃、『バカ殿』の収録で、悪代官と廻船問屋が差し向かいで悪巧みをするコントの撮影がありました。

 志村さんがお酒を注いでくれて、「じゃあ、いこうか」って飲んだら、水じゃなくて本物だった(笑)。放送されたコントは10分くらいでしたが、収録は1時間くらい回していたから、久しぶりの酒ということもあって最後はすっかり酔っ払いましたよ。

 その後すぐにコロナ禍になって、志村さんとも会えなくなってしまった。だから、あれが最後の酒になったんです。昔は、収録が終わればそのまま飲みに行くのが当たり前でした。そう思うと、最後まで仕事の現場で酒を飲んでいたっていうのは、いかにも志村さんらしいし、僕らしいなとも思いますね。

――またコントに挑戦したいですか?

 僕も来年で70歳なんで、体力的な不安はありますよ。でも、この年齢になっても身体を張るっていうのは、それはそれで面白い。機会があるなら、ぜひやらせてもらいたいし、まだまだ挑戦したい気持ちはあります。

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