「まず自分で考えろ」と言われても、何をどう考えればいいのか分からず止まってしまう――そんな部下を前にしていませんか。上司に基準も枠もないままの丸投げは、人を育てるどころか迷わせてしまいます。
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

「まずは自分で考えて」と言う人ほど、仕事ができない。仕事ができる人はどうする?

部下に考えさせる前に「自分の考え」を持つ

「部下に自発的に考え、行動できる人材になってほしい」

これは全上司の願いでしょう。だからこそ、相談に来た部下に対して、教育的指導のつもりでこう言ってしまうことが多くあります。

「答えをすぐに聞くな。まずは自分で考えてみろ」

しかし、準備のない「自分で考えろ」は、部下を育てる指導ではなく、上司の怠慢です。

特に、経験の浅い部下に対して「自分で考えろ」と言うのは、泳げない人を海に突き落として「自力で岸まで戻ってこい」と言っているのと同じです。

部下は思考の迷路に迷い込み、時間を浪費し、自信を喪失し、溺れてしまいます。

「答え」がない上司に、フィードバックする資格はない

私がコンサルタント時代、尊敬する先輩から叩き込まれた「鉄則」があります。

「部下に『考えろ』と言っていいのは、お前自身の中に『考え』があるときだけだ」

なぜなら、正しいフィードバックとは、「上司の考え(基準)」と「部下の考え」の「ギャップ(差分)」を埋める作業だからです。

もし、上司であるあなたの中に「こうあるべき」という基準がないまま部下に考えさせると、どうなるでしょうか?

部下が必死に考えてきたアウトプットに対して、その場の気分や思いつきで「なんか違うな」「もっといい案ないの?」「ウチらしくない」と、「後出しジャンケン」のダメ出しをすることになります。

基準がない指摘は、指導ではなく「難癖」です。

これを繰り返すと、部下は「どうせ何を言っても否定される」「正解探しゲームにつき合わされている」と感じ、上司を「老害」認定して心を閉ざします。

部下に「丸投げ」せず「思考の枠」を指定する

では、自発的な部下を育てるためには、どうすればいいのでしょうか?

答えは、「考える範囲を限定すること」です。

【実践例:新商品の企画書作成】

×丸投げ:「新商品の企画書、まずは自分で考えてつくってみて」

→部下は何から手をつけていいかわからず、フリーズします。

○範囲限定:「企画全体の構成は私がつくる。君には、商品イメージ図を、若者向けとシニア向けの2パターンで考えてみてほしい。それと、20代に刺さるキャッチコピーを5つ考えてきてくれ」

いかがでしょうか。

「商品イメージの2パターン」と「キャッチコピー5つ」。

ここまで範囲が限定されると、部下は「それなら考えられそうだ」と脳を動かし始めます。

「範囲を限定する」ことは、過保護ではありません。

まずは小さな範囲で「自分で考えて、上司の基準をクリアした」という成功体験を積ませる。

そして、その積み重ねによって、徐々に自分で考えられる範囲を広げていく。

この手順を踏むことで、部下は「自ら考え行動する人材」へと育つのです。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)