上司の不機嫌は、部下の集中力と安心感を静かに奪っていく。顔色をうかがわせるだけで、チームには大きな無駄なコストが生まれるからです。「安心して話しかけられる上司」になるにはどうすればいいでしょうか?
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

「安心して話しかけられる人」の習慣ベスト3

仕事として「機嫌良く」振る舞う

朝、オフィスに入った瞬間から空気がピリついていて、部下たちがひそひそ声で話し、上司の顔色をうかがいながら仕事をしている。

「今日の課長、機嫌が悪そうだから、報告は後にしよう……」

チームにとって最大の負のコストは、上司の不機嫌です。

「理想の上司」が実践していた3つの作法

私がコンサルティング会社に勤務していた時代、心から尊敬し、社内でも絶大な人気を誇る上司がいました。

彼は常に周囲を安心させる「機嫌の良さ」をまとっていたのです。具体的には、以下の3つを徹底していました。

①常に笑顔を絶やさず、名前を呼ぶ

朝の挨拶では、必ず相手の目を見て、「○○さん、おはよう」と名前を呼び、笑顔で応答していました。

たったこれだけで、部下は「存在を承認された」と感じます。

②相談されたら、体を相手に向けて手を止める

部下が「ちょっといいですか?」と話しかけたとき、パソコン画面を見ながら「何?」と答える上司が世の中にはあふれています。

しかし、彼は違いました。どんなに忙しくても、絶対にキーボードから手を離し、椅子を回転させて体を部下に向け、目を見て話を聞いていました。

「あなたの話を聞く準備ができている」という姿勢を、体全体で示していたのです。

③最後は「ありがとう」で締めくくる

相談が終わると、彼は必ず「相談してくれてありがとう」と言葉を添えていました。

通常、相談はお礼を言われることではありません。

しかし、彼が感謝を伝えることで、部下は「次もまた相談しよう」と思えるのです。

彼は常にこの3つを完璧にこなし、誰からも信頼されるリーダーでした。

「機嫌の良さ」は感情ではなく、「技術」である

しかし、ここからが驚きの事実です。

実は彼は、プライベートでは決して外交的なタイプではありませんでした。

むしろ人見知りで、コンビニに入っても店員さんと目を合わせることすらないような、静かな性格だったのです。

では、なぜ職場ではあれほど完璧な「理想の上司」でいられたのか?

それは、彼にとってあの振る舞いが「仕事としての技術」だったからです。

彼は私にこう教えてくれました。

「上司が不機嫌だと、部下は顔色をうかがうことにエネルギーを使ってしまう。それは無駄な精神的コストだ。だから私は、部下にコストをかけさせないために、プロとして機嫌良く振る舞っているんだよ」

この言葉を聞いたとき、私はハッとさせられました。私たちは、「機嫌が良い・悪い」を感情の問題だと思いがちです。

「私だって人間だ。嫌なことがあれば顔に出る」と。

しかし、プロフェッショナルとしてその言い訳は通用しません。

上司にとっての「機嫌」とは、感情の発露ではなく、身につけるべき「制服」なのです。

出社前にスーツに着替えるように、オフィスのドアを開ける前に「機嫌の良い上司」という人格に着替える。それが、給料をもらって部下を管理する人間の最低限の責任です。

性格を変える必要はない。行動を変えればいい

もしあなたが「自分は根暗だから」「愛想が良くないから」と悩んでいるなら、安心してください。性格を変える必要はありません。ただ、技術として振る舞えばいいのです。

・朝、誰よりも先に明るく挨拶をする。
・話しかけられたら、手を止めて体を向ける。
・会話の最後に「ありがとう」を添える。

これらにはすべて、性格も才能も必要ありません。

あなたの笑顔一つ、安定した態度一つが、部下の「精神的コスト」を削減し、パフォーマンスを最大化する最高の投資になります。

今日から、不機嫌というコストを削減し、安定という利益を生み出す上司になってください。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)