美しくて、素晴らしいアニメ作品だった。

 作品としても独創的ですごいクオリティなのだけど、ぶっ飛んだのは、この映画、25歳(当時)の青年がたったひとりで全部つくったということだ。

 81分の長編アニメを3年半の歳月をかけて全部ひとりでつくったのだという。

 監督も脚本も編集も音楽も、全部ひとり。セリフがないから声優も使っていない。

 ほんとにひとりでまるごとつくった映画。

 スタッフクレジットは、監督のギンツ・ジルバロディスという名前だけが出る。

 3年半、たったひとりでコツコツと、なんという孤独で途方もない作業だろうか。

 パンフレットによると、毎日8~10時間くらい取りかかって作業をしていたという。

 3年半、毎日10時間、コツコツとつくり続ける。

 考えただけで気が遠くなる。

 アニメーションをつくるのに疲れたら、音楽をつくったり、作業を切り替えたりしていたようだ。睡眠の質を上げるために、寝る数時間前には作業を切り上げることにしていたみたいで、本当に疲れたときは、どこかに旅して、作品について考えないようにしていたらしい。

 毎日決まった時間、黙々と取り組む。

 モチベーション維持の秘訣はこれだけだ。そうやって毎日ひとりでコツコツと積み上げていった先にこの素晴らしい作品はある。

超人気漫画『王様ランキング』も
作者がひとりで作り上げた

 この映画を観て、あるマンガのことを思い出した。

 少し前の話だけど、仕事の打ち合わせで会ったマンガの編集者に「最近オススメのマンガってなんですか?」って聞いたら、即答で返ってきたのが『王様ランキング』というマンガだった。

 まだそのときは単行本化もされていなくて、ネットでバズったばかりの頃だった。

 ものすごい勢いで拡散されていた。さっそく読んでみた。確かに面白い!王道とも言えるし、ひねりもしっかりきいた少年マンガだ。

 すごいバズり方をしているし、すぐに出版されて大ヒットするんだろうなって思った。

 実際その何カ月かあとにビームコミックスのレーベル(KADOKAWA)で単行本化されてヒットして、アニメ化もすぐに決まった。放送枠はノイタミナ(クオリティが高くヒット作が多いフジテレビ系の深夜アニメ枠)だという。もう、サクセスまっしぐらだ。