本件とは異なりますが、代襲相続人ではない孫を受取人とする場合にも注意が必要です。一般的に、法定相続人ではない孫への生前贈与は、相続税の計算上、持ち戻し(加算)の対象とならないため、節税対策として活用されることがあります。
しかし、孫が生命保険金を受け取った場合、税務上「相続によって財産を取得した場合と同様」に扱われます。その結果、過去の生前贈与が相続税の計算に取り込まれ、結果として生前贈与による節税効果が失われてしまう可能性があります。
このように、「非課税枠が使えない」上に「税額が増える」、さらに場合によっては「生前贈与の効果まで失われる」という、“トリプルパンチ”となる点には注意が必要です。
生命保険の受取人指定は、法定相続人以外の方に財産を残す手段としても有効です。しかし、その活用方法を誤ると、思わぬ税負担が生じるおそれもあります。活用にあたっては、十分な注意が必要です。
2. 「納税資金の確保」という出口戦略
相続税対策において、節税と同じくらい重要なのが「納税資金の準備」です。鈴木さんのように実家や田畑、テナントビルといった不動産が多い場合、相続人は納税を現金で用意しなければなりません。納税額によっては、大切な不動産を急いで売却することも考えられます。
生命保険金の最大のメリットは、受取人が請求すれば短期間で現金が手に入る点にあります。預貯金は遺産分割協議が整うまで凍結されるリスクがありますが、保険金は受取人固有の財産であるため、葬儀費用や当座の納税資金として即座に活用できるのです。
今回、受取人を礼二さんに変更したことで、将来の納税義務者である礼二さんの手元に確実に資金が入ることになります。本件では相続税ゼロ円の納税試算とのことですが、将来の制度改正や資産状況の変化により、課税が生じる可能性があります。あらかじめ備えておくことに越したことはないです。
3. 定期的な「メンテナンス」が功を奏す
春治さんは生命保険を有効活用できると思っていましたが、受取人指定についてはすっかり忘れていました。過去の生命保険契約が、実は相続税対策につながっていないケースは案外多いものです。
受取人変更の手続き自体は、保険会社への書類提出だけで完結する簡単なものですが、その一手を怠るだけで、相続税に大きく影響するおそれがあります。
今回の事例は親子間で相続の話をしていたため、生命保険証券を確認し、税理士への相談につながりました。定期的に親子でこうした話し合いを重ねていくことがおすすめです。
※プライバシー保護のため、







