古田 雄哉(ふるた・ゆうや)/One Asia法律事務所 大阪オフィス パートナー弁護士。社会保険労務士。 立命館大学法科大学院修了後、兵庫県内の法律事務所、同事務所の支店長職を経て現職。交通事故や労災等の損害賠償訴訟、および中小企業の労務管理・紛争予防や国際相続を専門とする。弁護士と社労士のダブルライセンスを活かし、労働環境の整備から訴訟対応までワンストップで支援。共著に『南アジアの法律実務』『問題不動産 対応マニュアル』などがある。
実際には数千円程度、あるいはほとんど支給されないというケースも珍しくありません。遺族年金は“上乗せされるもの”ではなく、“不足分を補う制度”です。この点を誤解していると、実際の受給額とのギャップが生じるおそれがあります。
さらに、知っておきたいのは繰り下げ受給についてです。
最近は老齢厚生年金の受給を遅らせて増額する“繰り下げ”を選ぶ方も増えていますが、繰り下げ中に夫が亡くなった場合、遺族年金は“増額後の金額”ではなく、65歳時点の本来額を基準に計算されます。
繰り下げたからといって遺族年金も増えるというわけではありませんので、注意が必要です。
さらに、納付要件という別の壁も存在します。亡くなった方が保険料をきちんと納めていなければ、そもそも遺族厚生年金自体が発生しません。
また、厚生年金の加入対象ではない自営業者であればそもそも遺族厚生年金は支給されませんし、国民年金の未納期間が長い場合は遺族基礎年金も出ない、というケースもあります。
離婚・再婚があるケースは
さらに注意が必要
近年は家族の形も多様化しており、離婚や再婚が関係するケースも増えています。この場合、遺族年金の判断は“死亡時点の関係”が基準になります。
どれだけ長く婚姻していても、死亡時点で離婚していれば元妻は受給できません。ただし、子どもには受給権が発生する可能性があります。再婚した場合、遺族年金の受給権は消滅します。これは法律婚だけでなく、事実婚も含まれます。
復氏(旧姓に戻る)や姻族関係終了届は受給権には影響しません。離婚や再婚を決断する前に、遺族年金に関しては年金事務所などから説明を受けておくこともおすすめです。







