悲惨な末路を回避する
遺族年金の落とし穴を防ぐコツ

――共働き世帯が今後次々と高齢者になります。遺族年金の「まさか」を防ぐコツはあるでしょうか?

 知っておきたいコツは2つあります。まず一つ目に、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には、これまでの加入実績と将来の年金見込み額が記載されています。

 夫婦それぞれの定期便を並べて確認することで、「どちらかが亡くなった場合、残された側の年金はどうなるか」を大まかに試算できるでしょう。50歳以降の定期便には年金見込み額が記載されるため、特に役立ちます。

 二つ目に、年金事務所は個別の加入記録に基づいた試算を無料で行っています。「夫が亡くなった場合、私はいくら受け取れるか」「逆に私が先に亡くなった場合はどうか」を定期的に確認しておくことは、老後設計に重要です。

 現在40歳以上65歳未満で子のない妻には年額62万3800円(2025年度)の中高齢寡婦加算が付き、専業主婦・パート主婦には重要な保障となっています。しかし、この加算は2028年4月以降、新たに受給権が発生する方から加算額が年度ごとに段階的に縮小され、25年かけて最終的に廃止される予定です。

 なお、一度受け取り始めた方の加算額は65歳になるまで変わりませんので、「すでに受給中の方がいきなりゼロになる」ということはありません。ただし、今後新たに対象となる方ほど受け取れる額は小さくなっていきます。日頃から不測の事態に備えるためにもシミュレーションしておきましょう。

2028年以降には
年金制度が大きく変わる

 2025年に成立した年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金制度そのものが大きく変わります。現行制度では、子のいない30歳以上の妻は遺族厚生年金を一生涯受け取ることができますが、改正後は子のいない60歳未満の配偶者への給付が原則5年間の有期給付に切り替わります。

 その代わり、5年間の給付額は現行の約1.3倍に増額されるほか、障害がある方や収入が十分でない方には5年を超えて受給を続けられる配慮措置も設けられています。

 さらに注目したいのが、新たに導入される「死亡時分割」という制度です。これは、配偶者が亡くなった際に、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で2分割し、残された配偶者の老齢厚生年金に65歳以降加算できる仕組みです。

 まさに和子さんのような共働き夫婦にとっては、遺族年金の差額がわずかでも、分割によって自分の老齢厚生年金が底上げされるメリットがあります。改正の施行は2028年4月からですが、早めにご自身の年金額への影響を確認しておくことをおすすめします。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。