身近なトラブルメーカーが「老化」を加速する!配偶者よりも血縁者がリスクにPhoto:PIXTA

 5月は「孤独・孤立対策強化月間」だ。近年、肥満や喫煙と並び孤独・孤立が健康リスクになることが知られ始め、国をあげてさまざまな取り組みが行われている。

 確かに安定した絆は心身に健康をもたらすが、全ての人間関係がプラスに働くとは限らない。実際、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に報告された調査によると、身近な「ハスラー(自分の生活を困難にする、問題を起こす人)」の存在は、DNAレベルで生物学的な老化を加速させるらしい。

 米国の研究者らは、インディアナ州に住むさまざまな年代の人々(18~103歳、平均年齢46.24歳)2345人を対象に、身近なハスラーの存在と唾液DNAサンプルから推計した「老化速度」と「実年齢とのずれ=心身の機能などの生物学的な年齢」との関連を調べている。この場合のハスラーは、家族や友人などの近しいネットワーク内にいながら、頻繁に嫌がらせをしたり、問題を起こす人と定義された。

 平均的な私的ネットワーク数はおよそ5人で、10人以上としたのは8.6%、ゼロと回答した人は1.3%だった。また、ネットワークに少なくとも1人のハスラーが存在しているとの回答は、およそ3割にも上った。

 老化との関連では、ハスラーが1人増えるごとに老化のスピードがおよそ1.5%速くなり、生物学的な年齢が実年齢よりも9~10カ月も老けていることが示された。

 興味深いのは、ハスラーが配偶者の場合、老化との明らかな関連は認められなかった一方で、親や兄弟姉妹、子供など血縁関係があるハスラーは最も強く老化を早めることが解ったことだ。血縁ハスラーの健康リスクは、喫煙の13~17%に匹敵するという。

 研究者は、配偶者は相互に支え合う場面もあるが、血縁者という閉鎖的で逃げ場のない人間関係からくる慢性的なストレスは、細胞レベルで心身にダメージを与えると推測している。

 孤独は誰しも怖いが、ネガティブな絆もまた、あなたをむしばむ。

 もし、身近な人間関係にハスラーが存在するなら、思い切って第三者に頼ることも考えるべきだろう。本来の孤独・孤立対策は安心できる絆をつくることなのだから。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)