【理由1】「税率の階段」を一段下りることができるから
相続税は、財産が多ければ多いほど税率が上がる仕組み(累進課税)です。みすずさんに全財産を集約した場合、父の遺産に加え、みすずさんの固有財産も合わさるため、財産規模は約1.5億円に達します。
小規模宅地等の特例による評価減を考慮しても、課税対象は約1億円超の規模となり、基礎控除(3600万円)を除いた後も高い税率帯(30%前後)のラインに入ってしまいます。
一方、一次相続で財産をみすずさんと幹太さんで分散させた場合、二次相続時の財産を5500万円(自宅3500万円、みすずさんの預金2000万円)に抑えられ、基礎控除(3600万円)を除いた後、低い税率帯(15%前後)の範囲で収まりました。「たった15%の差」と思うかもしれませんが、かなりの税額差を生み出します。
【理由2】妻・みすずさんの「固有財産」が合流してしまうから
二次相続の恐ろしい点は、お父さまから引き継いだ遺産だけでなく、みすずさんがもともと持っていた貯金(固有財産)2000万円が合流することです。 すべてをみすずさんが引き継ぐと、「父の遺産+母・みすずさんの貯金」という巨大な塊に対して課税されます。
一方、一次相続のうちに幹太さんが一部を引き継いでおくことは、将来の「巨大化」を防ぐための、いわば財産の事前切り分けになるのです。
【理由3】守ってくれる「枠」が減り、逃げ場がなくなるから
相続税には、一定額まで税金がかからない「基礎控除」がありますが、これが二次相続では減ります。一次相続では、みすずさんと幹太さんの2人が相続人であったため、4200万円まで無税でしたが、二次相続では相続人は幹太さん1人のみであり、基礎控除は3600万円まで減ってしまいます。
受け皿(控除)が小さくなったところに、合算した財産が流れ込む。これが税率を引き上げ、2120万円もの高額な納税につながる要因です。
このような試算を踏まえ、長男の幹太さんがアパートと現預金5000万円を引き継ぐプランを選ぶこととしました。
「配偶者の税額軽減を使い切って、いま得をするか。それとも、将来を見据えて家族の財産を賢く守るか」。専門家による客観的な試算をもとに、増本さん親子は自信を持って「将来の安心」を選ぶことができたのです。







