あえて一次相続で納税する
二次相続を見据えた節税術
相続税の相談でよく聞くのが「一次相続は配偶者控除でゼロにできました」という話です。それ自体は間違いではありませんが、その後に「二次相続でこんなに税金がかかるとは」と後悔される方も少なくありません。
一次・二次は別々の申告ではなく、家族にとってひとつながりの資産移転です。2回分を通算して考えることが重要です。そこで、二次相続を見据えたシミュレーションの重要性について、相続に詳しい「いちよう相続・税務サポート」の田澤広貴税理士に聞きました。
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田澤 広貴(たざわ こうき)/税理士。いちよう相続・税務サポート代表。不動産専門税理士事務所にて、相続税申告や不動産オーナーの税務業務に従事。現在は相続税・不動産に関する税務を中心に、幅広い相談に対応している。複雑になりやすい相続・不動産の税務をわかりやすく整理し、依頼者にとって納得感のある提案を心がけている。
田澤税理士:今回は、二次相続の怖さがよくわかる典型的なケースでした。二次相続シミュレーションをしていなければ、「目先の納税0円」を選んでしまう可能性は高いのです。
具体的な数字を比較するからこそ、「今、あえて約476万円払うことが、将来の1400万円を守る投資になる」という点に気付くことができます。
実際のシミュレーションでは、単なる計算だけでなく、お母さまの将来の医療費や介護費用による支出、逆にアパート賃料が入ることによる財産増加など、時間の経過による変動も考慮します。
また、現預金で引き継いだ財産についても、二次相続が起きるまでの間に、生命保険の活用や、子や孫への生前贈与を計画的に進めることで、さらに将来の負担を軽減する道も検討できます。
節税を優先するあまり、お母さまの手元資金が不足してしまっては本末転倒です。私たち税理士への相談では、単なる税額の試算だけでなく、相続後のキャッシュフローやご本人の意思もしっかり確認しながら進めていくことが大切だと考えています。
――遺産分割の時期や進め方についてアドバイスをお願いします。
田澤税理士:相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です。この期限内に遺産分割協議を終え、申告・納税まで完了させる必要があります。ただ、多くの方が、遺産分割の内容を決めてから税理士に相談するケースが多いのが実情です。
遺産分割の方針が固まる前に税理士が関与することで、今回の増本さんのような二次相続のシミュレーションも可能です。相続が発生したら、できるだけ早い段階で税理士に相談することが重要です。
※プライバシー保護のため、
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