悪意ある行為ではなかったことも幸いし、信頼はやがて回復した。「口紅にも含まれるような油でしたが、法律では食品には使用が認められていないものでした。でも、せっかくおいしいと思って買ってくださっているのに、裏切った形になってしまって」と、井守氏は言葉を選びながら話す。ひたすら謝るしかなかったという苦い経験は、同社の組織に深く刻まれた。
パインはこの経験を現在も語り継いでいる。当時の一部始終をまとめた冊子を作成し、毎年の新入社員研修で読み合わせを行う。「こういうことがあったから、2度と起こしてはダメだということを伝えるようにしています」と井守氏は力を込める。
シルエットは変わらないが
味わいは変化し続けている
数々のハードルを乗り越えてきたパインアメだが、長きにわたり変わらないものがある。それが「平たい丸形+穴あき」というシルエット、そしてパッケージのデザインだ。
現在のパッケージが完成したのは2003年。以来、大きな変更は加えられていない。「今のパッケージは完成形に近く、これが買わない理由になっている人はほとんどいないでしょう。パインアメと聞けば皆さんの脳裏に焼き付いているのがこのデザインだと思っています」と井守氏は言う。
商品ロゴも創業当初から受け継がれている。「パインアメフォント」と社内で呼ばれるこの書体は、かつて手書きだったものを整えた。さらに、50音になるよう「パインアメ」以外の文字も作成し、関連商品を横展開する際に活用している。
発売当初のパッケージ Photo by M.F.
1966年のパッケージデザイン。飴もまだ個包装になっていない 写真提供:パイン
一方で、約70年にわたって変化してきたものがある。それが「味」だ。







