フォロワー数の目標も、投稿頻度のノルマも設けない。バズった翌日に「もう一発やろう」と力んだりもしない。「調子に乗らないように気を付けています」と井守氏は笑う。

 この“ゆるさ”がアカウントを長続きさせている秘訣だろう。投稿がバズっていても、「得意先に言われて初めて気付いた」という社員がいるほどだ。

 SNSがもたらした最大の価値は、BtoBtoC企業であるパインが消費者と直接つながるようになったことだという。「おいしい」「ここをこうしたら」という生の声が届き、パッケージの細部の修正などに生かすこともある。そうしたファンとの関係が、ブランドの土台を下支えしている。

売り上げは過去最高を更新中
変わらない人気の秘密とは?

“岡田監督ブーム”の前後でほぼ2倍の売り上げを記録し、今もなお過去最高を更新し続けるパインアメ。その強さの源泉を一言で表すなら、「変えてはいけないものを守り、変えるべきものを変え続けてきた」という姿勢に尽きる。

パインアメ大阪市天王寺区にあるパイン本社 Photo by M. F.

 形とロゴとパッケージはブランドのアイデンティティーとして守り抜く。その一方で、味や製法、情報発信は時代に合わせて柔軟に進化させてきた。

 穴が開いて見通しがいい縁起物として受験生に配られ、ファンがヨーグルトなどのアレンジレシピに熱狂し、他企業のSNS担当者と面白がりながらコラボを生み出す。パインアメが70年以上愛され続けているのは、商品の力だけではなく、そこに集まる人たちが心から楽しんでいるからなのかもしれない。