先述したように、創業当初はパイナップル香料自体が存在せず、リンゴやミカンなどの香料を独自に配合してパイナップルらしさを表現した。その後、自動穴あけ機を導入した頃にはパイナップルの香料が使われるように。

 さらに1972年には果汁を配合し、より本物に近い味わいを追求した。「量より質」を重視する消費者のニーズに呼応した判断だった。

 パインアメの味の根幹にあるのは「甘すぎず、酸っぱすぎず」というバランスである。井守氏は「毎日食べても飽きない。ちょっと物足りないくらいがちょうどいい、くどくない味わいにあえて仕上げています」と説明する。プロ野球・阪神タイガースの岡田彰布前監督が1試合に7〜8個食べることができたのも、この絶妙なバランスあってこそかもしれない。

パインアメ1972年のパッケージデザイン 写真提供:パイン

 2020年には新工場が竣工し、製造機械が一新された。これを機にパインアメの配合を見直し、食感もザラつきのあるものから、ツルッとなめらかなものへと進化させた。「前々から食べてくださっているお客さまにも変わらずおいしいと言ってもらえる味を」と、何度も試作を重ねた末の成果だった。

SNSを積極的に活用
投稿で商品が品薄になることも

 もう一つ、近年見られる大きな変化はSNSの積極活用だ。現在の同社公式X(旧Twitter)のフォロワー数は約20万5000ユーザーに上る。

 長年ほとんど広告宣伝を行ってこなかったパインがTwitterの公式アカウントを開設したのは2010年8月。まだ企業アカウントが珍しかった時代に、当時は事務職だった井守氏が社内会議でのアイデア出しを通じて立ち上げた。きっかけはNHKや加ト吉(現テーブルマーク)など他社のSNS活用事例だった。

「せっかく新商品を出しても、皆さんに知られることなく消えていくのを何度も目にしてきました。少しでも宣伝になるなら、やってみたらどうかと提案したのです」