美津がカレーライスに挑戦
シマケンをこき使う美津。家老の家の妻だから、基本、人を使ってナンボなのだ。
『風、薫る』のなかで、意外とキャラが立っている美津。この人について整理しておきたい。
りんの代わりに瑞穂屋で働くようになった美津。英語は話せないが、なぜかうまく外国人客とコミュニケーションをとっている。
家老の家の嫁になり、薙刀(なぎなた)などの女性が身につける武芸はひととおり習得していて、存外強い。武家の嫁だけあって凛としている。
以前、江戸時代が続いてほしいと思っているタイプであるというようなことが語られていた。世の変化を受け入れているようで、じつは明治維新をさほど肯定もしてない。日本髪も着物も変えない。
だが、りんが看護婦になって、前髪パッツンになっても、その瞬間は疑念を示すが、すぐにりんのやりたいようにさせる。
自分の意思はしっかり持ちながら、他者のことは他者に任せて深入りしない。ひじょうに理想的な人である。
水野美紀が演じていることで、美津が魅力的になっている。アクションのできる人なので、姿勢がいい。その半面、どこかとぼけたふわっとした雰囲気も漂う。美津のとらえどころのない不思議な雰囲気は水野美紀だからこそなんだと思う。
そんな美津が、腕をふるって洋食に挑む。メニューは――。
カレーライス。
日本にカレーライスが入ってきたのは1871年(明治4年)。日本で初めて国産カレー粉の製造・販売がスタートしたのが1905年(明治38年)。ドラマは明治20年だから、だいぶカレーライスが浸透している時期である。
ハウス食品のサイトには、このような説明がある。
「陸軍幼年学校において、1873年(明治6年)に土曜日はカレーライスの日と定められると、その後1876年(明治9年)に開校した札幌農学校においては、『Boys,be ambitious』の名言でおなじみのクラーク博士によってライスカレーを1日おきに食べることが実施されました」
明治の日本人、どんだけカレーライスに魅了されてしまったのか。ちなみに1月22日が、1982年1月22日に全国の学校給食で一斉にカレーライスが提供されたことに由来し「カレーライスの日」とされている。
みんな、大好きカレーライスを、みんなで食べる。どうやらエビが入っていて、シーフードカレーであることが興味深い。お肉じゃないのである。そこが日本人的?
ちなみに明治35年、カレーライスは5〜7銭(都心での並クラスの値段)。「明治大正昭和値段史年表」(朝日新聞社)より。









