JR四国本社ビルのロゴ(香川・高松市)JR四国本社ビルのロゴ(香川・高松市) Photo:JIJI

前回記事ではJR四国が置かれた苦しい経営環境を取り上げた。2021年度にスタートした「長期経営ビジョン2030」の達成に向けた折り返し点、「中期経営計画2025」は達成の見込みとなったが、鉄道事業に関する「5カ年推進計画2021~2025」は未達となった。2031年度の経営自立に向けた同社の取り組みについて、引き続きJR四国本社取材をもとに解説したい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

新中期経営計画で
目指す新たな経営指標

 JR四国は経営再建に着手した2011年度以降、4つの中期経営計画を策定してきたが、現行の「JR四国グループ中期経営計画2030 つなぐ、創る、四国の未来」が、これまでと大きく異なるのは数値目標の置き方だ。

 2012~2016年、2017~2020年の中計は売上高と経常利益、2021~2025年の前中計は「売上高経常利益率1%の達成(JR四国単体)」と「経常利益における連結貢献額10億円」を目指していた。

 これに対して現中計は、「経常利益+減価償却費-経営安定化特別債券利息」を指す「連結償却前経常利益」という新たな指標が登場する。複雑に見えるが、これは通常の企業におけるEBITDA(償却前営業利益)に相当する概念だ。

 JR四国の鉄道事業を支える経営安定基金運用益は営業外収益であり、本業でキャッシュを生み出す力を示すEBITDAに含まれない。だが、経営スキームは基金の存在が前提であるため、営業利益の一部に組み込み、一方で時限的な措置である特別債券利息は除外する。

 従来の連結売上高や連結経常利益はグループとしての「自立の結果」を示す分かりやすい指標だが、問題は企業としての持続可能性だ。安定的な事業運営と継続的な設備投資を可能とする収支・キャッシュフローを実現するため、収益力を向上させ、キャッシュを生み出す力(稼ぐ力)の強化という「自立の前提」を意味する実効的な目標に切り替えた。