無責任な励ましではなく
「現実的な後押し」を

 最初に意識すべきは、「根拠のない励ましは、逆効果」という点です。

 なんとなく楽しい、なんとなく盛り上がったという体験が気持ちを癒やしてくれることはありますが、そういう体験を作るのは、同期や社外の友人など同世代の役割です。

 直属のマネジャーが、論理的な根拠もなく単に気持ちを盛り上げようとしても、多くの若手社員は愛想笑いを浮かべて対応するだけでしょう。

 もちろん、良い雰囲気をつくるために、ざっくばらんな話をしたり、交流を深めたりする場(部署の飲み会やランチ会など)を設けること自体は悪いことではありませんが、それだけでは何の解決にもなりません。

 マネジャーがやるべきは、背中を押すことです。

 つまり、短期的視点から解放し、中長期のキャリア形成に目を向けてもらうことを目指します。

 今、この瞬間に「やりたい仕事」ができないのは事実。では、将来的にそういう仕事をやるためには、どういうキャリアパスがあるのか。

 そのためには、今どのような実績を積むことが重要なのか。

 そういう話を1on1などの機会を作って、前向きな姿勢で話します。

 こちらの思う通りに誘導する必要もありません。どうしたいのか、どうなりたいのかを言語化してもらうように努め、それに対して、現実的な選択肢を一緒に探すのです。

 キャリアは、連続的なものです。階段状のものです。

 ブツ切りで考えてはいけません。一段飛ばしで駆け上がるものでもありません。一段ずつ、計画通りに上っていくことが大切です。

 最初に「やりたい仕事」に就いたとして、足場が固まっていないために、のちのち苦労するケースもあるでしょう。一見すると遠回りに感じた道が、結果的には、最適なルートである可能性もあります。

「やりたい仕事」を棚ぼた的に会社の方針で与えられるよりも、計画的な努力によって自分の手でつかみ取る方が、むしろ、やりがいを得られるかもしれません。

 いずれにしても、社内事情に精通しているマネジャーだからこそできるキャリア形成のアドバイスというものがあるはずです。

 こうした話をしたとしても100%の納得は得られないかもしれません。しかし、実現可能な道筋を提示してくれる信頼できるマネジャーだという認識を持ってもらうことができれば、まずは十分だと思います。