絶妙な動的バランスに
ポルシェの懐の深さ
トップグレードのマカン・ターボに乗ったのでその印象をお届けしよう。特徴はやはり強力な動力源となる。最高出力はシリーズトップの639psで、最大トルクは1130Nmを発生する。この車格からして4桁のトルクは恐ろしい。最高速度は260km/h、0→100km/h加速は3.3秒というデータだ。スーパーカーレベルの4桁のトルクを誇るわりに最高速度がそこまで高くないのはBEVらしいといっていいだろう。モーターの特性がそのまま数値につながっている。
とはいえ、静止状態からの動き出しやアクセルを踏み直しての中間加速は想像以上に速い。アクセルオンで体がシートに強く押し付けられる。内燃機関であれば過給器がないと起きない現象をモーターはいとも簡単に起こすので注意が必要だ。それでいて、街中での走行では細かいアクセル操作に見合った速度調整をしてくれるので扱いやすさもハイレベル。ドライブモードをノーマルにしておけばピーキーな走りにはならない。
逆にいえばスポーツプラスで走ればかなりアグレッシブに楽しめる。アクセルの踏み方しだいでは周囲のクルマが止まっているように見えるだろう。他車を横目に異次元の走りを体感できるかもしれない。でも、マカン・ターボが速さだけが売りではないことをきちんと強調しておきたい。というのも、シャシーの安定感が抜群だからだ。加速時の沈み込むような姿勢やコーナーでのフラットライドはまさに最新のポルシェ。挙動を乱さない動きは、まんまスポーツカーである。そこはポルシェ・ブランドとしての一日の長があるのだろう。背が高くなっても、動力源が電池とモーターにスイッチしても、ポルシェらしさはそのまま。さらにいえば制動力もそう。このブレーキ性能があるからこそアクセルが踏めるのだ。その絶妙な動的バランスに、ポルシェの懐の深さが感じ取れる。
(CAR and DRIVER編集部 報告/九島辰也 写真/原田 淳)








