養老 やっぱり好きなんですよ。そうやって人と付き合うことが。僕は不向きだけど。
和田 僕もほぼ向いていない人間です(笑)。やはり上手に老いるためには養老先生が仰る「人間のことに一所懸命にならない」ということは大事ですね。仲間外れを恐れる側も人を疎外する側も、結局は、人を縛り自分を縛って生きている。
養老 ただ、そういうのが好きな人もいますから。だから人に一所懸命になりたい人は、そうすればいい。嫌な人は付き合わなきゃいい。負担になることは避けたらいいんです。
和田 養老先生は子供の時、頑張ることの無意味さみたいなことに気づかれたし、僕はもともとが人とうまく関われない人間です。そんな僕でも、人間として大きく変わる出来事がありました。
養老 それは?
和田 僕が精神科を選んだ理由は人を殺さない科だと思ったからです。ところが浴風会という病院に就職してすぐ、患者さんが病棟で自死をした。これは相当にこたえましたね。精神科でも人は死ぬんだと。以来、医者という仕事にかなり真面目になりました。
「人間も自然の一部でしかない」
周囲に振り回されないコツ
和田 養老先生は解剖学の先生だった頃から、ずっと変わらず若々しいですよね。
養老 僕は発育不全なんですよ。発達障害。
和田 解剖学とか基礎医学の先生って変な人が多かったんだけど、養老先生はダントツにおしゃれでした。
養老 やっぱりちょっと足りないんでしょう。「年相応」って言葉があるけど、僕は世間の基準と照らして、何かが不足している。たぶん人を気にしていないからです。人に合わせれば自然に年相応になる。でも合わせないから「年不相応」になる(笑)。
和田 若くいられる秘訣ですね(笑)。でもそれは本稿の大事なポイントです。つまり周囲に合わせないことで、元気に長生きできるんです。
養老 物は言いようだね(笑)。
『80歳の壁を超えた人たち』(和田秀樹・幻冬舎)
和田 僕の母はいい加減な人でしたが、唯一感謝してることがあるんです。それは「人と仲よくしろ」と言わなかったことです。僕は小学校を6回転校していて、どこに行っても仲間外れだし、いじめられっ子だったんです。そんな僕に母は「お前は変わってるから、いじめられるのは当たり前やから。資格でも取って生きてかなあかんで」と。みんなに合わせて窮屈に生きるくらいなら、合わせられなくても生きていける道を探れ、という教育方針でした。だから僕は仲間外れにされても焦りませんでしたね。
養老 僕はそういうことはあんまり意識しなかった。そもそも仲間外れにされてるかどうかさえわからない(笑)。
和田 人間に興味がない?
養老 いや。昆虫や自然に興味を持つとね、人間のことはどうでもよくなるんですよ。それでずいぶん助かったんです。
和田 人間も自然の一部でしかない。そう考えると人間に振り回されずにすむ。養老先生の健康とアクティブさの秘訣に少し迫れた気がします。







