相手を尊重してつながりを生み出す会話、何がうまくいっているかを明らかにする会話、理想の未来のイメージを喚起する会話は、こうしたポジティブな感情を生成するものだ。

 フレドリクソンの「ポジティブな感情は何の役に立つのか?」についての画期的な研究と、その後の著書『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』では、「ポジティブ思考から、自信と楽観主義の上向きの好循環が生まれる」という考えが実証されている。

 この上向きの循環により、健康や幸福度も向上する。また、ポジティブな感情によって潜在能力が拡張されて、変化や成長、学習、有意義な関係性の構築、解決策の発見などもうまくできるようになる。

 さらに近年の研究では、価値ある会話が「ポジティブ・レゾナンス」と呼ばれる「他者と真に結びつく、活力に満ちた時間」を促すことが実証された。

 こうした時間は、心身の健康を増進させ、チームとしてのパフォーマンス能力を向上させる。これこそ、すべての組織が求めているものだ。

業績好調チームの会話は
ポジティブトークが86%

 幸い、ポジティブさやポジティブ・レゾナンスの潜在能力は、あらゆる組織とコミュニティに存在している。「生成的な質問」と「ポジティブなフレーミング」を使って、建設的で有意義な関わりをしていけば、1人ひとりの最高の可能性を引き出すことができるのだ。これは吉報だ。

 組織のリーダーをしている人なら、企業の部署を調査したマーシャル・ロサダとエミリー・ヒーフィの研究は特に気になるところだろう。彼らは会話が部署の業績に与える影響を収益性、顧客評価、360度サーベイで測定した。

 部署の会話を聴き取り、ポジティブな会話とネガティブな会話の比率、質問と主張の比率、話の焦点が自分か他者かの比率を算出したのである。

 結果は圧倒的だった(表7─1参照)。高業績の部署では会話のポジティブ比が高かった。ポジティブ:ネガティブ比が6:1だというのは、効果的な組織力学の処方せんと言える。