これは、脳神経科学やパフォーマンス研究の結果とも矛盾のない、当然の結果だ。
会話のあり方で結果が変わるのは、職場だけの話ではない。結婚生活の成功要因に関するジョン・ゴットマンの研究では、会話でポジティブ:ネガティブ比が5:1という「黄金比」が指摘されている。夫婦の会話のポジティブ:ネガティブ比率が5:1に近ければ、結婚生活がうまくいく確率が非常に高まる。
これが1:1となると、結婚生活は急速に破綻へと向かう。
ゴットマンは、夫婦の会話から将来を予測することで、黄金比を検証した。
1992年、彼は700組の夫婦の15分間の会話をビデオ撮影し、ポジティブな会話とネガティブな会話の数を数えた。そして10年後に、各夫婦を追跡調査した。すると、離婚の予測は94%の精度で当たっていたのだ。
もしも、あなたの職場や自宅での会話を15分間傍聴されたとしたら、どんな未来が予測されるだろうか?
ポジ話とネガ話の
理想の配分比率は?
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)(編集部注/肯定的に価値を見出す探求)にもとづく会話は、人間関係を強化し、潜在能力を開花させるのに加えて、有意義なコミュニケーションを促して行動を喚起し、その結果達成感をもたらすものだ。
ポジティブ心理学の創始者とされるマーティン・セリグマンは、持続的幸福への道は、ポジティブな感情、積極的な関与、他者との関係性、意味・意義、達成(頭文字を取ってPERMA〔Positive emotion/Engagement/Relationship/Meaning/Accomplishment〕)を高めることだと言う。
『チームは未来志向の対話でうまくいく』(ジャッキー・スタブロス、シェリ・トレス著、佐々木寛子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
これらはすべて、価値ある会話と強い関連がある。自分の所属する組織の持続的幸福を望むなら、職場でAIベースの会話を増やすのが1つの方法だ。
強い人間関係、高業績のチーム、成功する組織を望むのなら、シンプルにAIの「2つの実践法」を使って会話をすれば良い。「価値ある会話」や「肯定的な会話」の比率を高める重要性は、すでに実証研究で示されている。
とはいえ、「それ以外の会話はするな」ということではない。後ろ向きな会話は避けられないし、ネガティブな感情になるような状況も存在する。それは構わない。
フレデリクソンの研究では、ポジティブとネガティブの比率が3:1であれば、ポジティブさを維持できるとされている。ロサダとヒーフィの研究では、高業績のチームではポジティブな会話が6:1の比率だとされている。ゴットマンによれば、人間関係がうまくいく黄金比は5:1だ。研究によって結果は違うが、要するに、ポジティブな会話がネガティブな会話より圧倒的に多い状態を維持すべきということだ。







