「足りないもの」を求めるよりも
自分が持てるものを生かす
といって、今すぐブリコラージュを日常生活に取り入れるのはハードルが高そうです。よって、私たちでも実践できることを考えてみましょう。
たとえば、遊ぶお金がない学生はすぐにアルバイトをしてお金を稼ごうとします。しかし、働けばその分、自分の時間が減ってしまいます。であれば発想を転換して、お金が足りないままで、楽しめる方法を考えてみるのです。
ブリコラージュは勉強法にも重要です。英文を読んでいて、「philosophy」という単語がわからなかったとしましょう。普通であれば辞書を引いて意味を調べるところですが、あえて辞書を引かずに読み進んでみるのです。
読み進めるうちに「何か物事の考え方に関する単語かな」「物事の原理に関する単語かな」と類推できます。そのタイミングで初めて辞書を引いてみる。「そうか、『哲学』という意味だったんだ」。こういう流れをつくったほうが、実は言葉の意味はスッと頭の中に入りやすいのです。
つまりは「足りないもの」に目を向けるのではなく、今の自分が持てるものを生かすという発想です。
「こうなりたい」という理想の自分像を最初に思い描いて、その理想像に近づくために努力をすることは、もちろん大切です。しかし、たいていの場合、「でも私にはまだこのスキルが足りない」「収入も少ない」「キャリアも積めていない」といった劣等感が刺激され、それが不安や不満につながります。
中には理想の実現を目指して、足りないものをバリバリと埋めて頑張り続けられる人もいますが、それができる人は実際には少数です。みなさんには、理想の自分像から「引き算」する人生をやめ、「今ここにあるもの」に集中し、手元にあるあり合わせのもので楽しむ方法を探してみてほしいのです。レヴィ=ストロースは、ブリコラージュの能力はコミュニティの存続にも重要な影響を与える、と指摘しています。
こうして身の回りのことを見つめ直すと、今あるもので新たにできることは、意外とたくさんあります。







