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華やかなレッドカーペットが象徴する「映画芸術の最高峰」アカデミー賞。芸術を顕彰する場と見られがちだが、その起源は大人の事情そのもの。映画産業を支配する大手映画会社が労働組合対策として設けたこの授賞式は、いかにして現在のショー形式へと変化していったのか。創設の背景とその変遷をひもとく。※本稿は、映画評論家の松崎健夫『アカデミー賞入門』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
1917年のロシア革命後、世界中に
労働運動が波及していった
1920年代、大手映画会社の時代へと移行したハリウッドの撮影所では、労働組合活動が活発になっていきました。働く側の権利に対する意識が高まっていたのです。
MGM(編集部注/ハリウッドのメジャー映画会社)の共同創始者であり、独裁的な経営者としても知られていたルイス・B・メイヤーは、労働組合に対して先手を打つべく、監督や俳優などハリウッドの人気者に接触。俳優や監督だけでなく、製作者や脚本家、撮影や編集、音楽など映画の技術者といった各部門の実力者を集めた会員制の協会を1927年に設立することに着手しました。この団体こそが、現在の〈映画芸術科学アカデミー〉だったのです。
表向きには、当時のトップスターだったダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードが提案したことにしながら、彼らに労働組合との調停にあたらせることで世間への印象操作をする思惑があったと言われています。ちなみにふたりは、実生活では夫婦でもありました。映画製作だけでなく社会問題に対しても意識が高かったブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー(元)夫婦のような存在を、フロントに据えたと考えるとわかりやすいかもしれません。







