投票権を持つアカデミー会員のうち、当時は94%が白人で77%が男性、80%が50歳以上(平均62歳)だという分布の偏りがありました。A2020委員会を設置したシェリル・ブーン・アイザックスは、黒人女性として初の映画芸術科学アカデミーの会長となった人物。彼女は、映画芸術科学アカデミーの会員の選考に保守的な傾向があることを是正するため、2020年までに、女性やアフリカ系、マイノリティの会員数を2倍にすると宣言したのです。

アフリカ系映画人がボイコット
SNSでは不名誉な指摘が拡散した

 一方、2015年度の第88回アカデミー賞では「2年連続で俳優部門の候補となった20名が全て白人」だったことが問題になりました。例えば、『ロッキー』シリーズをスピンオフとして復活させた『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)のマイケル・B・ジョーダンなど、前評判の高かった俳優が候補にも挙がらず、人種的な偏りがあることを指摘されたのです。

 これを受けて、ウィル・スミス夫妻やスパイク・リー監督といったアフリカ系を代表する映画人たちが授賞式をボイコットするという騒ぎに発展。

 SNS上では「#OscarsSoWhite」=「白すぎるオスカー」との批判が拡散されるに至り、“白すぎるオスカー”は第88回を象徴する不名誉な言葉になりました。

 こういった批判に対する是正もあってか、翌2016年の第89回アカデミー賞では黒人俳優が主役を演じた作品が、作品賞候補の三分の一を占めました。少し極端な気もするのですが、俳優部門では、『フェンス』のデンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィス、『ラビング 愛という名前のふたり』のルース・ネッガ、『ムーンライト』のマハーシャラ・アリとナオミ・ハリス、『ドリーム』のオクタヴィア・スペンサーと、アカデミー賞史上最高となる6人の黒人俳優が候補となり、マハーシャラ・アリが助演男優賞、ヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞に輝いています。

“白すぎるオスカー”への反発を招いた要因のひとつは、第86回で作品賞に輝いた作品が、黒人奴隷の自由を描いた『それでも夜は明ける』(2013)だったことにもありました。この年の授賞式では、黒人俳優として初めてアカデミー主演男優賞を受賞したシドニー・ポワチエをはじめ、歴代の黒人受賞者や黒人の映画人を賞のプレゼンターに配するなどの配慮がなされていました。