たとえば、相手の言動やそれによって生じた自分の気持ちに着目し、相手の言動のもつ意味を解釈し、どんな対応をするかを考え、そのための具体的な反応の仕方を検討し、反応を決定し、それを実行に移す。

 この中でとくに重要な意味をもつのが「手がかりの解釈」である。人の言葉や態度のもつ意味をどのように解釈するか、ということである。

 同じようなことを言われても、「侮辱された」と解釈して怒り出す人もいれば、「ユーモアのあるからかい」と解釈して一緒になって笑う人もいる。

 相手の言動をどのように解釈するかによって、その後の反応に大きな違いが出てくる。攻撃的な人に漂う敵意は、この解釈に起因する。

 他の人なら聞き流すような他者の言動にも、いちいち感情的に反応する。なんでそこまでムキになるのだろう、そんなふうにひねくれた受け止め方をしなくてもいいのにと思う。

 そこにあるのが、何でも悪意に解釈する認知の歪みである。

 そのせいで、こちらには何の悪意もないのに攻撃的な反応をされ、それは誤解だからちゃんと説明すればわかってもらえるはずと思ってもわかってもらえない。そして、目の前で反発されるばかりか、陰で悪い噂まで流される。

「バカにされた」と思うのは敵意帰属バイアス

 このような認知の歪みを「敵意帰属バイアス」という。それは、他者の言動を敵意に帰属させる、つまり敵意をもっているからだとみなす認知傾向の歪みのことである。

 相手から何か言われたとき、そこに勝手に敵意を感じ取り、

「こっちのことをバカにしてるんだ」
「自分のことを排除しようとしている」

 などと悪く解釈する認知傾向である。それにより、「向こうは加害者、自分は被害者」といった図式が心の中にできあがる。

 このような敵意帰属バイアスをもつ人は、相手の何気ない言葉や態度にも敵意を感じ取り、ときに親切心による言動にさえ勝手に敵意を感じ取り、自分に敵意を向けてくる相手への報復という意味で、相手に対して攻撃行動を示すことになる。

 それは、敵意帰属バイアスについて検討した多くの研究によって、はっきりと証明されている。