親切心にさえ「敵意」を読み取る、歪んだ認知の連鎖

 人間関係を悪意で操作することを「関係性攻撃」という。

 悪い噂を流したり、不信感を煽るように情報をわざと歪めて流したりといった関係性攻撃が目立つ人物の場合、自分自身が関係性攻撃の被害に遭っていて、それに対する報復だというような意識をもっていることが多い。

 友だちの何気ない言葉や態度に敵意を感じ、「仲間外れにしようとしている」「こっちのことを嫌ってる」などと悪意に満ちた解釈をする。

 要するに、被害感情をもちやすいのである。被害妄想といってもいい。その結果として、相手を攻撃する。

 そうした敵意帰属バイアスというような認知の歪みの背後には、「基本的信頼感の欠如」や「見下され不安」が潜んでいると考えられる。

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 人を信頼する心理傾向をもつ人物は、人に対して好意的な態度をとるし、人の言動も好意的に解釈する。ときに、そのために騙されたりもしやすいが、人を疑うよりは信じたいという気持ちが強い。

 一方、基本的に人のことを信頼していない人物は、人に対して常に警戒しており、人の言動にも裏があるのではないか、悪意があるのではないかと用心深くなる。それが高じると、相手には何の悪意もないのに敵意帰属バイアスが生じ、勝手に敵意を読み取り、反撃に出たりしてしまう。

 また、自信がなく、「見下され不安」を抱える者は、「バカにされるのではないか」「軽く見られるのではないか」といった不安が強いため、人のちょっとした言動にも「バカにしている」「軽んじている」などと歪んだ解釈をしやすい。

 そうした敵意帰属バイアスのせいで、自分に敵意を向ける相手(と本人は信じ込んでいる)への報復として攻撃的行動に出ることになる。

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