京都の人気鍼灸師で、SNSでも人気の「すきさん」(本名:鋤柄誉啓 すきから・たかあき)が書いた『メンタル養生』が発売中だ。本書は、毎日の生活の中で心が疲れたな…という人が、心身ともにラクになれる考え方とコツを紹介しており、「疲れていても気楽に読める」「現代人必携のセルフケアバイブルだと思う」など、多くの口コミが寄せられている。
同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

「体の安定」は「心の安定」。体も心も安定する、簡単なのに奥が深い動作とは?Photo: Adobe Stock

地に足のつかない感覚

 昔から、何もないところでよくつまずく。

 先日も100メートルほどの間に2回つまずいたので、横にいた友人に「疲れてる?」と聞かれてしまった。

 とくに何事かいろいろ考えているとき、おしゃべりに夢中なときなどは足元が危うくなる。

 意識があちこちに行っていると、体もフラフラして地に足がつかない感じなのだ。

 椅子に座っていればつまずくことはないけれど、パソコンに向かっていながら集中力が切れたときなどは地に足のついていない感覚がある。どっしり座っているというより、なんとなくフワフワしている

理想のバランス「上虚下実」

上虚下実(じょうきょかじつ)」という言葉をご存じだろうか?

 上半身は適度に力が抜けていて、足腰には力が入っている状態を示している。身体が安定して力を発揮しやすい状態の目安となる言葉である。

 これを教えてくれたのは、東洋医学的な見地から「心の不調」をラクにするヒントが書かれている本『メンタル養生』だ。

 本書にはこうある。

 足腰が安定していると、立ち姿も自然と安定しますし、メンタルも安定しやすくなります。
 しかし、現代人はこれとは逆の状態、つまり上半身が力んでいて、下半身に力が入っていないことが多くあります。
 必死に頑張りながら、どこか地に足がつかないときの心模様をそのまま表したような体つきです。

――『メンタル養生』P.111

 東洋医学の考え方では、「気」がバランスよく全身に巡っている状態が良い状態である。

 ところが、普段の生活で目と頭を酷使している人は、自然と上のほうに「気」が集まり、上半身の「気」が巡りすぎてしまうそうだ。

 また、一日の大半を座って過ごすような場合、あまり使われていない足腰には「気」が巡りにくくなる。

 そうして、理想のバランスの「上虚下実」とは反対の「上実下虚」の状態に陥ってしまうのである。

腕を振ってみよう

 本書には、体からアプローチすることで心の不調をラクにする「メンタル養生」のコツがたくさん紹介されている。

 下半身が安定せず、メンタルも不安定になってしまうことに対する「メンタル養生」のひとつは、「腕振り運動」である。

「体の安定」は「心の安定」。体も心も安定する、簡単なのに奥が深い動作とは?『メンタル養生』P115より
① 肩の力を抜いて、腕を前後に振る(無理なく自然に上がる高さまででOK)。
② 腕を振るペースはだいたい1秒に1回くらい。ラクに振れるリズムで行う。
③ 同じ動作を数分間続ける。

――『メンタル養生』P.115

 太極拳の準備運動で「スワイショウ」と呼ばれる動きだ。両手を前後に振るだけなので簡単ですぐにできるが、実は奥が深く、体をゆるめる秘密が隠されているのだという。

 実際にやってみると、最初は腕の動きに合わせて全身がフラフラしそうになるが、だんだん安定してくるのを感じる。

 ガチガチになっている腕や肩まわりもほぐれて気持ちがいい

 仕事中、疲れてきたら席を立ってこの腕振り運動を1~2分やってみているのだが、いい気分転換にもなっている。少しずつ、上虚下実の状態に近づけていきたい。