Photo:Bloomberg/gettyimages
株価調整局面で暴力的な下落加速装置となる「デレバレッジ」とは何か。好業績が見込まれていても、需給が悪化すると「売りが売りを呼ぶ展開」になり、想定以上に株価が下落することがあるのが株式市場だ。連載『株式相場の歩き方』の本稿では、デレバレッジの恐怖を紹介しつつ、需給の悪さに震える日々と無縁の銘柄候補をリスト化。デレバレッジが解消する条件についても解説する。(株式コメンテーター 岡村友哉)
日韓の半導体関連株急落を
主導したデレバレッジとは?
わずか1カ月程度でキオクシアホールディングスの株価は11万2000円(6月22日)から4万4550円(7月28日)に急落――。
歴代最強ともいわれたモメンタム株ラリー。キオクシアHD、太陽誘電、村田製作所、イビデンなどがとてつもない上昇率を記録し、時価総額を膨張させるAI株が続出したのが2026年の上半期です。
ところが、下半期となる7月に入った直後から、「バブルだったの?」というような勢いで株価崩壊が起きています。冒頭のようにキオクシアの株価は1カ月で半値以下まで急落しました。上がっているときは「天にも昇りそう」、そんな勢いすら感じさせるものですが、天まで届く株は、やはりなかったようです。
日本のAI株が買われてきたのは、利益成長に強烈な期待感が高まったからです。その源泉は、米アルファベットや米マイクロソフトなど巨大IT企業(ハイパースケーラー)による巨額のAI設備投資です。
アルファベットは7月22日の決算発表で、26年通期の設備投資見通しを増額しました。設備投資旺盛のカタリストは崩れておらず、この恩恵を受ける関連株の利益成長期待についてもしぼんだわけではありません。
それでも急に売られた理由として、世界のAI株相場をけん引していたメモリー株(米国のマイクロンテクノロジーやサンディスク、韓国のSKハイニックスやサムスン電子、日本のキオクシアなど)に対し、メモリー価格急騰の一服感、中国のDRAMメーカーCXMTの猛追といったニュースがネガティブとなったことが挙げられます。
ただ、それはあくまできっかけに過ぎず、これまで急ピッチで買われた反動が大きいように思われます。とくに今回は機関投資家の運用方針が切り替わる下半期に入った直後、というタイミングでもありました。
保有割合(ウエート)が高まっていたAI株を減らし、ウエートが低下していたAI株ではない銘柄に乗り換える。これを“リバランス”といいますが、こうした動きがあったかのような物色の変化も見られました(AI株は下がるが、AI株以外は上昇する)。
今回のAI株の下げ方がひど過ぎる理由に、“デレバレッジ”という下落加速装置が関与しています。じつは、この仕組みを理解することは、今後株式投資をする上で超重要です。
このデレバレッジとは「借金の返済」というような意味です。株式市場での借金は信用取引であり、その信用取引を使って取ったポジションを反対売買で解消していくことを指します。
暴落を加速させる「デレバレッジ」とは何か。キオクシアHDの第1四半期決算は7月31日だが、無事に通過すればAI相場は復活するのか。次ページでは、相場の急落時に発動するデレバレッジの仕組みを解説しつつ、AI関連銘柄の需給が悪い中での銘柄選びのヒントをお届けする。







