感情的になり、不満ばかり言う部下に「正論」でアドバイスしていませんか? 実はそれ、ダメ上司の典型例かも。モヤモヤする部下を動かす鍵は、安心感を与える「ペーシング」と、問いかけで思考を導く「リーディング」の掛け合わせです。自分の言葉で語らせることで視座を引き上げ、感情の渦から救出!「自ら気づき、主体的に動き出す」チームへ変わる極意を解説します。

部下が不満を募らせるダメ上司が無意識でやっていることPhoto: Adobe Stock

部下の「自発的な行動」を引き出す!

「部下が感情的になっていて、建設的な話し合いができない」「現状への不満ばかりで、次にどうすべきかが見えていないようだ」

このような壁にぶつかるマネジャーの方は多いのではないでしょうか? 部下がモヤモヤとした感情の渦に巻き込まれているとき、ダメな上司は正論を言ってしまいがち。いくら自分が的確なアドバイスだと思っていても、部下の心にはなかなか響きません。

そこで重要になるのが、部下自身の口から状況を語らせて思考の整理を促す「リーディング」というアプローチです。

感情の渦から抜け出し、俯瞰する視点を持たせる

部下の話にじっくりと耳を傾け、相手のペースに同調する「ペーシング」によって安心感と信頼関係の土台を築いた後、次のステップへ進みます。それが、適切な問いかけを通じて相手の思考を導く「リーディング」です。

このリーディングが果たす重要な役割は、部下を感情の渦から抜け出させることにあります。人は、自分が抱える悩みや複雑な状況を「自分の言葉」で声に出して語るプロセスを経ることで、少しずつ冷静さを取り戻していきます。

そして対話を重ねるうちに、目の前のトラブルに固執していた状態から自然と視点がチャンクアップ(一段上のレベルへと引き上げられること)され、自分自身の置かれた状況を客観的に、俯瞰して見られるようになるのです。

答えは「部下自身のなか」から立ち上がる

俯瞰する視点を取り戻すと、部下の認識に大きな変化が訪れます。それまで目の前を覆っていた霧がスッと晴れたように、「では、この状況を良くするために、自分はいま何をすべきか?」という具体的な行動が見えてきます。他でもない、相手自身のなかからその答えが明確に立ち上がってくるのです。

上司から「こうしなさい」と直接指示された解決策ではなく、自らの内省から導き出した答えであるため、その後の実行に対する納得感やモチベーションは格段に高まります。

これこそが、相手に安心感を与える「ペーシング」と、思考の整理を促す「リーディング」を組み合わせた面談アプローチの最大の効果です。

管理職の皆さんは、ぜひ部下に「答えを与える」のではなく「視座を引き上げる」手助けをすることを意識してみてください。部下が自ら気づき、主体的に動き出すためのマネジメント手法となるはずです。

※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)をもとに作成しました。